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第110話 ガンス

 ガンスは28才、イルスは27才になっていた。ガンスは武闘派として頭角を現し、今では組の中枢を担っている。性格は鉄砲玉だ。  イルスは定時制の高校に行き、数年遅れの大学生になった。とにかくコツコツとやるのが好きなんだそうだ。頭脳派として、組で頭角を現している。組長は,大学に入る際、経済学部を薦めたが本人は思うところあって商学部に進んだ。そして同時にトレーダーの仕事をしている。  組には、元証券マンの柳ヶ瀬というのがいる。イルスは柳ヶ瀬に師事して学んでいる所だ。組のために少しは利益を出し始めた。 「こいつはクレ・アオだ。16才だったか? 藤尾さんからの預かりだから、よろしく頼む。 チャイマに狙われてるらしいから、外出の際には気を付けるように。  ガンス、イルス、外国人同士よろしくな。」 「外国人って何よ?」 「差別発言だ。アオは何人(なにじん)? チャイマに目付けられてるって? 中国人か?」 「うん、台湾系だって親が言ってた。 中国で育ったけど、台湾系は迫害された。 どっちも中国なのに?」 「ははは、わかるよその気持ち。 俺キム・イルス、27才。 あっちがキム・ガンス、28才だ。」 「あんまり似てないね。」  アオは一目でイルスを気に入った。スマートで優しそうだった。ガンスはちょっと怖い。  突然ガンスに抱きしめられた。 「わっ、何ですか,いきなり。」 「痩せてるなぁ。もう少し食え。じゃあな。」 向こうへ行ってしまった。 「何だろう,あの人?キム・ガンス?」

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