111 / 200

第111話 アオ

 ガンスはがっしりしていて男っぽい。イルスはほっそりしていて中性的だ。アオは二人の事が頭から離れない。  自分がこれからどうなるのか先行き不安なのに、関係ない二人の事を考えてしまう。 (オレ、男が好きなんだ。チャイマにオモチャにされてたし、前から自覚はあった。  あの二人、どっちも好きなタイプだ。)  意識し始めるともう他の事は考えられない。部屋住みなので夜も同じ部屋で寝る。ガンスとイルスと3人だ。でもイルスは深夜まで組長の部屋で勉強している。  勉強というか、柳ヶ瀬さんとパソコンを見ている。組長の部屋に大きなモニターがセットしてあって、ニューヨーク・ダウとかから目が離せないらしい。寝る時間を削って株式市況を見ている。 そのまま組長の部屋で寝落ちして、自分の部屋に帰らない事も多い。  眠る時はガンスと二人きりだ。今夜も隣の布団にガンスが眠る。アオは何度も寝返りを打って眠れない。 「ガンス、布団に入ってもいい?」 「な、何でだよ。狭いだろ。寒いのか?」 「うん寒い、眠れない。」 「しょうがねぇなぁ。来いよ。」  面倒な素ぶりとは裏腹に、掛け布団を少し捲って、待っていてくれる。 「あったかい。ガンス抱っこして。」 「馬鹿言うなよ。」 「狭くて布団から出ちゃうよ。ちゃんと抱いてて。」  ガンスはウブだ。腕に力が入っていて緊張が伝わってくる。 「もっと優しく抱いてよ。」 「何言ってんだよ、寝ろよ。」 黙っている。でも寝てない。眠れるわけがない。 「おまえ、何してんだよ。どこ触ってんだ。」 そう言いながら、ガンスの方が強い力で抱いて来た。 「あ、はあ、ガンス、キスして。」 一線を越えたのか、強く抱きしめられた。舌を絡ませセクシーなキスをする。 「え、えっ?こんな事だめだよねぇ。 イルスが来るよ。」  ガンスは落ち着いて、もう一度アオの顔を掴んで濃厚なキスをした。

ともだちにシェアしよう!