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第116話 藤尾と名都

藤尾に聞かれた。 「寺田ってのと、まだ関わってるのか? ヤバい事になってるぞ。」 「何よ、それ。」  ダンス曲が終わって、名都のエスコートでミトが帰って来た。名都は藤尾の隣に座り、ミトはいつものロジの膝に座った。 「ねぇ、ロジ。名都はダンスが上手だ。 僕は軽く抱きついてるだけで、踊れた。 楽しいよ、ロジも踊ろう。」 「少し休んでからにしよう。ミトの息が上がってるぞ。」  首に抱きついてキスして貰っている。 「寺田は顔が広いって自慢してたな。 たかがボディガードの名都なら、簡単に叩き潰せると、おまえも言ってたな。  自分の言った事には責任持てよ。」 ミカドに向かって、静かな声で藤尾が言った。  そこへ奥の老人がやって来た。奥から出てくるのは珍しい。 「名都、ダンス見せてくれてありがとう。 ミトも綺麗じゃった。眼福、眼福。」 「じゃあ、今度はおじいちゃんのために、綺麗なドレス着て踊るよ。」  ミトが嬉しそうだ。 「ご老人、わざわざ、こちらに?」 ロジと藤尾が席を立って最敬礼だ。 「ミカドにも話があってな。」  ソファに座ると本題に入った。 「ミカドは寺田とかいう人物に何か頼んだのか?」 「え、知らないわ。 藤尾さんを許さないって言ってたような。 あの、私はこの話に噛んでないわよ。」 「名都を叩き潰すんじゃなかったのか? たかがボディガードだからな。」 笑っている名都の肩を抱いて、藤尾は 「こいつは俺の本気の嫁、だから、よ。 ご老人のお墨付きを貰ったんだよ。 叩き潰して貰おうか?」 ミカドは真っ青な顔で 「わぁ、勘弁してください。ごめんなさい。 舐めた口聞いて、許してください。」 平身低頭だ。

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