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第121話 バー高任
何事もなく数日が過ぎた。バーを開けようと店に来るとそれを待っていたかのようにドアが割られた。バー高任は木のドアに小さなガラスをはめ込んだ小窓がある。
灯りがついているか確認出来るように厚いガラスの小窓だ。
そこに何か硬くて大きなものがぶつけられたようだった。
強化ガラスは割れなかったが、木のドアに大きな傷がついた。誰かが割ろうとしたのは一目瞭然だ。近隣に悪質なビラが撒かれた。
「バー高任はゲイの溜まり場です。
男が買えます。なんでもやらせてくれますよ。」
と、煽情的な写真付きのビラだった。
「ご丁寧な事だ。
礼於、今日は店、開けられないな。」
「お休みにするの?」
「考え方を変えれば、私たちへのご褒美だな。
楽しい事しよう、おいで。」
傑と仲良く帰る事にした。傑はどこかに電話して,二人で歩いて帰った。住まいは店から近いのだが、少し歩く。
麻布の住宅街に、不穏な人影が数人。ドアを壊した奴らだろう。
取り囲まれた。いきなり殴りかかって来る。
無言で襲いかかる男たちは不気味だ、と思う間もなく、なんと傑が投げ飛ばしている。
いつも店に来る時に持っているトートバッグから、一瞬で何か棒のような物を取り出した。
一振りで長さが変わる。特殊警棒だ。傑はアッという間に男たちを打ち据えた。
警察官が何人か駆けつけて来た。さっきの電話は警察にかけていたのか。
店のドアも見せて被害届を出した。
そこに藤尾さんと名都が来た。警察官は藤尾さんを見てペコペコしている。
「傑、大変だったなぁ、あとは俺に任せて帰っていいよ。」
逃げた男たちも、全員警察官に捕まった。
まるで、奴らの計画通りのように。
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