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第124話 花包み
片桐に藤尾から、話がある、と銀座にお誘いがかかった。
『クラブ花包み』で飲んでいる。
「集蔵、もう立派な男色になっちゃったの?
ねぇ、片桐さん、どうにかならないのかしら。」
相変わらずの千堂ママだ。隣でコーラを飲んでいる名都に絡んでくる。
「あなた、確かにイケメンだけど集蔵を満足させられてるの?」
名都の手を掴んで、いきなり着物の身八つ口からその手を胸に入れた。直に乳房を触らせる。
「揉んでちょうだい。
この店は、お客様にそんな事させないんだけど、
あなたにはわからせてあげるわ。
どう、おっぱい、あなたには無いでしょ乳房。集蔵はこれが好きだったのよ。」
周りの客がドン引きしている。
千堂ママは、そんな色気だけで売っている女ではない。気風の良さで銀座を生き抜いてきた。その美貌だけではない、竹を割ったような性格が、愛されてきた。
「おいおい、千堂、いや花、やめろよ。
綺麗な着物が台無しだ。着崩れを直してこい。」
「集蔵、花って呼んでくれたから、今夜は許してあげるわ。ちょっと失礼。」
席を立った千堂ママを見ながら
「片桐さん、すいませんねぇ。
昔の事なんだが。名都も気にするな。」
「名都さん、千堂ママのおっぱい、触れるなんて果報者ですよ。」
「あ、ええ、はい。」
真っ赤になっている。強面の名都も女性には免疫がなさそうだ。
本題に入る。
「また、下っ端がくだらないこと、してきてるそうですね。
チャイマも統制が取れてないようで、命知らずの馬鹿がいるんですよ。小者ほど危険だ。」
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