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第128話 処理②
帰って来てからも、礼於はずっと考えている。難しい顔をして一生懸命な礼於が可愛い、と傑が
頭を撫でてくれる。
「ねぇ、あの夜ドアを壊して、傑を襲ったのは誰?チャイマに寺田さんが頼んで、襲わせたんでしょ?まだ、警察に捕まってるの?」
「礼於の言ってる事にちょっと誤解があるようだ。前に藤尾さんが襲われたのは、覚えてるだろ。藤尾さんを庇った名都を刺したのは16才の子供だったって。」
傑の説明はこうだ。
以前から揉め事を好む中国系の半グレが藤尾を襲ったが大した事はなくて、名都が浅く刺されただけだった。
そいつが、また鉄砲玉にされて、もういやだ、と助けを求めて来た。それを匿って藤尾さんの懇意の組に預けたのをしつこく恨んで、バー高任がトバッチリを受けた、ってことらしい。
「寺田さんは出てこないの?」
「寺田って誰?」
「えっ?あの日の事、覚えてないの?
ボクが寺田さんに水をかけて怒らせたこと。」
「礼於、夢でも見たか?」
抱き寄せてキスしてくれた。
「ねぇ、倶楽部に行っておじいちゃんに聞いてみたい。」
次の日あの倶楽部にいってみた。奥の老人、に会いに来たのだ。
奥のVIPルームへ行った。老人が一人、奥から出て来た。
「礼於は何か、腑に落ちないのじゃな。
たまに聡い者がいる。
時の流れに敏感なのじゃ。」
「やっぱりおじいちゃんが何か悪巧みしたの?」
「礼於、ダメだよ。失礼だ。口の聞き方に気を付けて。」
傑がハラハラしている。傑の手をギュッと握った。
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