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第130話 処理④

 人は死んでも残された人々に弔って貰いたいものだ。だから墓を建てる。みんなの記憶に残りたい。それで死んでも救われる気がするものだ。  実際に死んだ事のある人はいないだろうから、死後の世界に対する憶測で,弔い、墓を建て、供養する。   老人が言ったのは、存在の抹消。 礼於は、何よりも恐ろしい事だと思う。どんな罰より罰だ。 「おじいちゃん達は神様なの?」  礼於の声をききながら、傑はもうこの辺りから 現実感がなくなって来た。 「神は、人間が考えだしたものじゃ。 人間を超えた存在が、いると思ったほうが便利じゃからの。  真理はどこにでも転がっておる。」 「ボクの覚えている寺田っていう人は、最初から何処にもいなかったの?」 「そうじゃ。しかし、おまえさんの記憶の中にいるじゃろ。このバグを抹消出来なかった。  わしらの失敗じゃ。」 「人間の存在を消すって言うのなら、ひどい事をする人を消せばいいのに。  ボクの知ってる寺田さんはそこまで悪い人じゃなかったと思うよ。  もっとひどいことやる人はいっぱいいるよね。 ニュースとか見てると。」 「そうじゃな。神はサイコロを振らない、という言葉がある。確率と関係なく物事は起こる。」 「じゃあ、ここは何? なぜ、一部の人だけがここに入れるの? 目的は何?」 「質問攻めだな。 前に、ロジャーの所のミトにも同じような質問をされたな。お前らは似ておるのぅ。」 「ボクの疑問は膨らむばかりだ。 おじいちゃん、なにも本当の事を答えてないよ。 ボクをからかってるの?」

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