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第131話 紅茶
老人は、キリッと少し若返ったように、背筋を伸ばして話し始めた。
「わしらは長く生きている。いつから生きているのか、自分でもわからない。世界中を探せば同じような存在はいるじゃろう。
そして、礼於やミトのような勘の鋭い人間もたまにいる。
それから、勘、ではなくて、生来、神の記憶を持って生まれたシャーマンがいる。
古いところでは卑弥呼がそうだ。
現在でもいるぞ。おまえのタトゥーを入れたグレースだ。あと最近見つかったのは、菫、だな。彼女はまだ自覚しておらん。あと、サリナもそうだが、今は結婚して子育て中だな。
巫女は女性特有の力だと思う。そして衆道。これも必要だから存在するのじゃろう。
玉梓という女性が九十九里に住んでおる。
玉梓は巫女だが、我々と同じ、長生き、というより、不死、のようだ。
長く生きると、便利なもので、記憶は失われていく。発狂しないためじゃな。」
そこに小鉄が紅茶を持ってきてくれた。
きちんとティーポットに入れて、カップとソーサーも用意されている。作法通り紅茶を入れてくれた。ポットの中で茶葉がダンスィングしてゆっくり開くのを待つ。
香り高い紅茶が温めておいたカップに注がれる。小鉄が
「プリンス・オブ・ウェールズ。
この極上の紅茶は、ロジャーのサー・リチャーズ商会からよ。添えてある角砂糖を入れて。」
各自のソーサーに、スプーンに乗った角砂糖が添えられていた。甘いものが得意ではない傑も、その砂糖は紅茶に入れた。
傑と礼於が同時に紅茶を口に運んだ。喉がかわいていた。全部飲み干す。
「あ、これ何?美味しい。」
次の瞬間、宇宙に放り出された。
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