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第133話 神無月

「ボクたち、寝落ちしちゃったの?」  傑に肩を抱かれて見上げる。礼於はここに来た目的を忘れてしまった。  いつも、いい音楽が流れている。今は古い感じのスィングジャズ。  小鉄がシャンパンをフルートグラスに二つ、運んで来た。それとミネラルウォーターのボトル。  そう言えば、傑も礼於も喉が渇いていた。 「あ、紅茶飲んでたんだ。」 「礼於、覚えてるの?」  あまりよくは覚えていない。僅かに紅茶を飲んだことを思い出した。水を飲んで小鉄に疑問をぶつけてみた。 「おじいちゃん達は、もの凄い年なんだって言ってた。何万年も生きてるってホント?」 「そんなわけないじゃない。」 「神様なの?」 「普通の年寄り、だと思うわ。 神様のようにお金持ちだけど。顔も広いわね。」 「なんか人間離れした事が出来るの? 時空を変える、みたいな。」 「そういう話で揶揄うのが好きなのよ。 子供くらいしか騙されないわね。」 「なんだ、凄い秘密を知ったか?と思ったけど夢だったのか。」 傑は 「私はあまり覚えていないのだが。 そんなにいろんな事を話したのか?」 「傑は元々、何も違和感感じてなかったもんね。 ボクだけ、変な事、聞いちゃったんだね。」 「今何時?」  聞けば、もう傑と礼於がここに来てから、丸一日以上過ぎている。 「えっ?えっ?帰らなくちゃ。 ねぇ傑、おじいちゃん達に挨拶して行こうか。」 小鉄が 「おじ様達はお出かけになったわ。 毎年10月は出雲の方に旅行に行くのよ。 1ヶ月くらい帰らないわ。 お留守の間は藤尾さんが神経をとがらせている。」

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