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第136話 ミトの疑問
バー高任に来た。ミトは礼於に会いに来たのだ。
「いらっしゃい。礼於が待ってたよ。」
「やあ、この前の合同新婚旅行以来だね。」
「あの時は楽しかった。
ハジメとミトの知り合いだって?
あのホテルの社長。」
「私も驚いたよ。全く知らない所で縁は繋がる。
面白いものだ。」
「僕、チモは怖い人だと思ってたんだ。」
「チモってあの社長か?面白い人だったね。」
「カトマンドゥでは怖い人だった。」
傑が、スピリッツ抜きの『ベルガモットの囁き』をロジに作った。オリジナルカクテル。
ノンアルコールだ。要するにアールグレイのオレンジアイスティ。
「ミトは何飲む?」
「おすすめは?」
「礼於も好きなテキーラサンライズはどうかな?」
礼於もミトも意外と酒が強い。ロジは車だからアルコールは全く飲まない。
「テキーラだって。強いお酒だ。」
「オレンジジュースで割るからそんなに強くないよ。ローリングストーンズのミックジャガーがこれ、大好きなんだって。」
出て来たテキーラサンライズを飲んで
「甘くて美味しい。ほとんどジュースだ。」
「グレナデンシロップが甘いんだ。
ほら、グラスの底に日の出が見えるだろう。」
オレンジの中で底の方が赤い。まるで日の出だ。なるほどサンライズだ。
「それで礼於は何か変な感じがするの?」
話はあの違和感について、だった。
「ロジ先生は偉い大学の先生なんでしょ。
何でもわかるの?知らない事はないの?
全ての答えを知ってるの?」
ロジは笑って
「ものすごい誤解だね。
学問は追求すればするほど疑問だらけになるよ。
だから面白いんだけど。」
「じゃあ、答えなんてどこにもないの?」
ロジの面白い講義が始まった。
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