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第141話 アオ②

 アオは傑に一目惚れした事を隠さない。冗談ではなくなってきた。  ガンスとイルスの目を盗んで、[バー高任]に通ってくる。  裏切って、極道の新宿桜会に身を寄せているのがわかったら、チャイマも放って置かないだろう。アオはその怖さを自覚していない。  きっちりと落とし前を付けなければチャイマも示しがつかない。  ボスの李が、藤尾さんに声を掛けてアオの身柄を引き取りに来た。もう居場所は、バレていた。 「チャイマのボスが自らお出ましとは?」 「うちの若いもんが世話になってるそうで。」  李の周りはチャイマの若衆が固めている。 「また、物騒なモノを持った躾の悪い若いのを集めたもんだ。李さんとあろうものが、何事かな。」 「スミマセンネ。どーも血の気が多くて。 ウチの呉ってのが世話になってるって聞いたんだが。呉碧雲ね。」 「ああ、世話してたらどうする? 俺は二度も襲われて、何だか前世からの縁を感じているんだよ、あのガキに。  タダじゃ返さないよ。」 「藤尾さんも呉碧雲が気に入ったかね。 良く仕込んであるからね。 あっちの方はガキとは思えない、後を引くね。  藤尾さん、味見したかね。」  名都が嫌な顔をしている。 「片桐ん所の若いのが面倒見てるよ。」 「おお、ヤクザに預けたのか。  戦争したいのかね。 チャイマはどんどんこの国に入って来てるよ。 どっちが勝つか、面白いね。」  藤尾さんが笑って、 「その度胸があるかな? おまえさん達にどんなメリットがあるんだよ。  李さん、計算が得意だろ。」 「呉はどうしたいって?」 「ずっとここに、いたいってよ。 俺を襲わせた事はチャラにしてやるから、もうあのガキは解放してやれよ。  俺たちが張り付いてるからよ。」 「そうね。また改めて御礼参りに伺うよ。 あの、奥のご老人にも。」

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