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第146話 アオ⑦
「アオは即死だったって。」
スマホを見ながら傑は言った。
礼於は泣きながら傑に抱きついたが、柔らかく拒絶された。
「ごめん、今は誰とも触れ合いたくない。
私の腕の中で死んだんだ。たまたまだったけど
守ってやれなかった。まだ16才だったのに。」
警察の実況見分調書も藤尾さんが全て代わってくれた。
傑は空っぽになったみたいに茫然自失の状態で何日か過ごした。
「何か、食べないと。簡単なもの作るよ。」
ほとんど話さなくなった。たまに抱きしめて渇いたキスをくれる。それだけだ。
「そんなにアオが好きだったの?」
礼於が聞くと、意味がわからない、と言うように首をかしげる。
ハジメとタカヒロが来た。
「バーは閉めてるけど、近所から苦情が凄い。」
発砲事件なんか起こすような店は、もう続けられないかもしれない。閑静な住宅地なのだ。
「礼於はディアボラに戻れよ。
私はもうバーを続けない。ごめん、一人になりたいんだ。」
傑は言った。もう気持ちは固まっているようだ。
「礼於、集蔵から聞いたわ。
頼ってくれて嬉しい。ディアボラは大歓迎よ。
住む所はどうするの?急いで探そうか?」
「ううん、今のところに住み続けるよ。
傑とボクの家だ。」
あの日、傑は出て行った。
「ボク、ここで待ってるよ。傑の帰るのはボクのところだけだよ。いつまでも待ってるから。」
涙を堪えて言った。
傑は笑って頬にキスして出て行った。
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