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第147話 ディアボラ
「レオン!お帰りレオン。」
淳と零士が飛んで来てハグしてくれた。
円城寺が、
「大変だったな。ま、気を落とすな。
人はみんな、いつか死ぬんだよ。」
随分角が取れて大人の対応だった。
「円城寺さんはアオを知らないんだね。
知ってる人が死ぬのはキツイよ。」
「私も友を亡くした事があるよ。
でも、屍を超えて生きるしかないんだ。」
「傑に言ってほしかったよ。」
ディアボラはレオンが戻った事で一段と賑やかになった。連日大盛況だ。
菫ちゃんが友達をたくさん紹介してくれる。この店のオーナーだから以前のように、レオンを指名して、お金を落としてくれる太客にはならないが、上品なお客さんを連れてきてくれる。
淳と零士が仕切って、知性と教養のある、感じのいいホスト達が揃っている。
「いらっしゃい。あ、ミト!
ロジャー先生も。来てくれたんだね。」
「大変だったね。傑君はどこに行ったんだ?」
「行方不明なの?」
「ボクは奥さんじゃないから、何の権利もないんだ。探せない。」
「あのおじいちゃん達に聞きに行こう。」
「いいんだ。探して欲しくないって傑は思ってるよ。でも、必ず帰って来ると信じてる。」
「そうだね。帰って来るまで、僕と遊ぼう。
いつでも来てね。
寂しくなったらキスしてあげるから。」
ミトは優しい。誰もが優しい。
礼於はレオンとしてホストに徹している。でもふとした時に傑を思う。前にホストをしていた時は傑を知らなかった。
{バー高任}のマスターとしてしか見ていなかった。好きなタイプだな、くらいの感じで。
でも今は違う。傑を知ってしまった。傑の匂い、傑の笑顔、傑のサラサラな髪、傑の太い腕、傑の大きな胸、傑の口づけ、ふとした瞬間に思い出す、傑の全てを。
目の前のお客さんを楽しませる事に心を砕いて、他の事は考えないように自分を戒めている。
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