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第149話 占い

 彫り師のグレースが来た。 「ハーイ、レオン。今日は私の占いをやるわ。 これは真実。当たるも八卦当たらぬも八卦、みたいなものじゃないの。本当の事しか出ないわ。  鹿の骨を焼く甲骨占い。 神道では太占神事(ふとまにしんじ)というのね。」  グレースはシャーマンだと聞いていた。奥の老人もそう言っていた。  ディアボラの一番大きいテーブルに、大きな皿を置いて、なにかの骨を焼いたものをそっと広げた。  その焦げた炭のようなもので、傑のいる所をさがすのだという。 「わかったよ。」 グレースは言った。 「傑は日本にはいない。どこか島にいる。 ケルトの島だって。レオンにはわかる?」  そこにハジメとタカヒロが来た。 「傑の居場所、わかったよ。アイラ島だ。 スコットランド。」  ハジメがこの一年の出国者のリストを調べてくれた。ハジメは語学を活かして出入国管理局で働いていた。 「凄い、グレースの言った通りだ。 ハジメもすごいネットワークだね。」 「ちょっと個人情報に抵触するぎりぎりだったよ。」  グレースの占いとハジメの出国者情報で、傑がアイラ島にいる事がほぼ確定した。 「すぐ、行くかい? チケット手配するよ。」 「もう一年近くになる。僕が行ってもいいのかな?」  傑は手紙もくれなかった。もう礼於が行くのは迷惑なのではないか?と不安なのだ。 「もう僕のこと忘れちゃってるかもしれないよ。」

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