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第159話 倶楽部
日本に帰って来た。奥の老人に挨拶に行く。シングルモルトをお土産に。
「おじいちゃん達、ボク、スコットランドに行って来たんだ。傑はウヰスキー作ってた。
お土産だよ。」
ウヰスキーを手渡す。
「傑は、随分長い不在だったな。
礼於が哀れでならなかったぞ。」
礼於の頭を撫でてくれる。
「すみません。私の考えが足りませんでした。
嫁を泣かせてしまった。」
「これからどうするのかね?」
「はい、出来ればまた、バーをやりたいです。」
「そうか、麻布界隈の事は心配いらん。藤尾が話をつけている。」
バーを続けられるようにしてくれたようだ。元々あのあたりの土地はほぼ全部、老人達の持ち物である。大地主なのだ。
「ありがとうございます。」
「あそこも少し時空が歪んでおるからのう。
礼於を泣かせてはいかんな。」
「おじいちゃん達にはいつも揶揄われる。
ボクは本気にしちゃうから。」
「ワシらは本当のことしか言わないぞ。
礼於は心が綺麗だから、信じてくれるんだな。
騙されるのとは違うぞ。」
礼於は笑って老人の頬にキスした。
「あっ、礼於、なんていう事を!」
傑が慌てる。
「礼於はいい子だ。
チューされるのは久しぶりだの。
ミトが来るとしてくれるんだが、チュッとな。」
老人達は嬉しそうに、奥に帰って行った。
小鉄が来て、
「おじさま達なんだかご機嫌ね。礼於はみんなのアイドルね。
傑、お帰り。もう礼於を泣かせないでね。
みんなハラハラしてたのよ。」
そう言って礼於の頭を撫でてくれた。
二人のマンションに帰って来た。
「傑がいないとこの部屋も寂しそうだったよ。」
傑の膝に抱きついて離れない。
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