162 / 200
第162話 ディアボラ
「お帰りレオン。」
円城寺が出迎えてくれた。淳と零士も飛んできた。傑と礼於が[ディアボラ]に来た。
六本木、ホストクラブ[ディアボラ]
午後8時、まだ早い時間でもお客さんは入っている。店の雰囲気は静かだが、品のいいお客さんが寛いでいるのがわかる。
「あら、レオンちゃん、
イギリスに行ってたんだって?」
「ああ、いらっしゃいませ、麗華さん。」
『マダム・セキグチ』の関口麗華社長だ。
「聞いたわよ。彼氏を追いかけて、イギリスまで愛の逃避行?」
「いや、別に逃避はしてませんけど、確かに追いかけて行ったわけで・・」
傑が隣で笑っている。
「そちらが彼氏ね。披露パーティでお見かけしたわね。あの日は人が多くて、でも背の高いマッチョなあなたともう一人似ている人がいたわ。」
「あ、それは従兄弟のハジメです。
合同披露宴だったので、皆さんカップルの組み合わせが混乱しているようで。」
「あなたもイケメンね。一緒に飲みましょう。
淳ちゃん、何かシャンパーニュをお願い。」
「はい、ありがとうございます。」
フルートグラスが配られて、ボトルから、シャンパンが注がれた。
「菫を呼ぼう。」
麗華さんが席を立った。
菫ちゃんはオーナーだが、あまり店には出ない。忙しいのと、円城寺がやりにくいとの気遣いからだ。知り合いが呼べば、日本にいる限り来てくれる。
この店には独立した電話室がある。店の喧騒が伝わらないようにだ。
女性実業家の顧客が多い。海外との取り引きもあるので時間に関わらず、ビジネスに使う事も多い。女性エグゼクティブのためのサロンなのだ。
菫ちゃんが来た。礼於にハグしてくれる。
「お帰り、レオン。寂しかったわよ。
レオンのファンに、いつ帰って来るのか聞かれて、大変だったのよ。
若いお嬢さんもいらしてた。どうするの?
ホスト続ける?」
礼於は傑の方を見た。
「いいよ、礼於の好きにして。」
「ボク、傑の邪魔にならないように、自分でも働きたいんだ。接客は好きだから。」
「礼於、邪魔なんかじゃないよ。でも外の世界を知る事は大事だね。」
傑の肩に抱き込まれて可愛くなっている。
ともだちにシェアしよう!