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第162話 ディアボラ

「お帰りレオン。」 円城寺が出迎えてくれた。淳と零士も飛んできた。傑と礼於が[ディアボラ]に来た。  六本木、ホストクラブ[ディアボラ] 午後8時、まだ早い時間でもお客さんは入っている。店の雰囲気は静かだが、品のいいお客さんが寛いでいるのがわかる。 「あら、レオンちゃん、 イギリスに行ってたんだって?」 「ああ、いらっしゃいませ、麗華さん。」 『マダム・セキグチ』の関口麗華社長だ。 「聞いたわよ。彼氏を追いかけて、イギリスまで愛の逃避行?」 「いや、別に逃避はしてませんけど、確かに追いかけて行ったわけで・・」 傑が隣で笑っている。 「そちらが彼氏ね。披露パーティでお見かけしたわね。あの日は人が多くて、でも背の高いマッチョなあなたともう一人似ている人がいたわ。」 「あ、それは従兄弟のハジメです。 合同披露宴だったので、皆さんカップルの組み合わせが混乱しているようで。」 「あなたもイケメンね。一緒に飲みましょう。 淳ちゃん、何かシャンパーニュをお願い。」 「はい、ありがとうございます。」 フルートグラスが配られて、ボトルから、シャンパンが注がれた。 「菫を呼ぼう。」 麗華さんが席を立った。  菫ちゃんはオーナーだが、あまり店には出ない。忙しいのと、円城寺がやりにくいとの気遣いからだ。知り合いが呼べば、日本にいる限り来てくれる。  この店には独立した電話室がある。店の喧騒が伝わらないようにだ。  女性実業家の顧客が多い。海外との取り引きもあるので時間に関わらず、ビジネスに使う事も多い。女性エグゼクティブのためのサロンなのだ。  菫ちゃんが来た。礼於にハグしてくれる。 「お帰り、レオン。寂しかったわよ。 レオンのファンに、いつ帰って来るのか聞かれて、大変だったのよ。  若いお嬢さんもいらしてた。どうするの? ホスト続ける?」 礼於は傑の方を見た。 「いいよ、礼於の好きにして。」 「ボク、傑の邪魔にならないように、自分でも働きたいんだ。接客は好きだから。」 「礼於、邪魔なんかじゃないよ。でも外の世界を知る事は大事だね。」  傑の肩に抱き込まれて可愛くなっている。

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