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第163話 ヤキモチ
お客さんが入って来た。
「レオン、レオンがいる!
キャア、いつ帰って来たの?」
白薔薇の時枝さんが以前、美容師仲間を連れて来て以来のお客さんだ。みんな美容師だったりメイクアップアーティストだったり、レオンを気に入ってくれる。ミトがずいぶん宣伝してくれた。
彼女達は円城寺の、はからいで料金は格安だ。
それで白薔薇のお嬢さん達も来やすくなった。若い女性割引がある。無理しないで来てもらえる。
傑のいない一年の間、レオンはホストとして,確実にお客さんを増やして来た。
席に案内してニコニコ話をしている礼於が眩しい。傑は、礼於がイキイキとしているのを見るのは嬉しかった。
「傑、ごめん、放っておいて。」
傑は、麗華さんと菫ちゃんとウヰスキーの話で盛り上がっている。
「あら、話が弾んでたのよ。傑ちゃんもイケてるわ。」
麗華さんに言われて笑ってるが、礼於は少し心配だ。隣に来て耳元で
「傑、ずいぶん楽しそうだね、ボクがいなくても。」
傑が驚いた顔を向ける。両手で礼於の顔を挟んで優しく口づけする。
「あらあら、レオンって意外なヤキモチ焼き?」
菫ちゃんや麗華さん、熟女達が大笑いしている。
「今日は仕事ってわけじゃないから、もう帰ったら。本格的な復帰はいつから?」
「傑と相談して近いうちに。
今日は帰ります。お姉さん達に傑を取られないうちに。」
みんなは笑っているが礼於は大真面目に言っている。
「傑ちゃんもここで働いて欲しいくらいだわ。
レオンがこわいから、スカウトはやめておくわ。」
菫ちゃんが笑いながら送ってくれた。
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