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第191話 傑と礼於
「今日は忙しかったね。ディアボラも忙しかったけど、バーに来てからドッと疲れた。
大人の会話だ。大人って疲れるね。」
「レオンの顔をしている時は、キリッとしてカッコいいよ。
でも、早く礼於に戻って私に甘えて。」
傑は礼於が仕事の顔をしているのも好きだ。
プライベートでは甘えん坊の礼於は、傑一人で独占しているが、レオンはみんなのアイドルなのだ。それにしてもリチャーズ商会のポスターとテレビコマーシャルの影響力は凄い。
ハジメとタカも雑誌に載った事で,忙しそうだ。自分の仕事が出来ない、と言っている。パパラッチのような人が盗撮するらしい。マスコミに露出するのは、やはりロクな事はない。
マスコミは何でもつついてくる。ハジメとタカの周辺にも探りが入る。そっくりな従兄弟がバーをやっている、なんていうのは恰好の餌食にされそうだ。しかもゲイ。
天使のように美しい男、の恋人でもある傑が餌食になるのは当然だろう。
ロジャー先生は以前の騒ぎとゲイについてのスクープを軽々と、いなした。
ロジャーは逃げない。自分の仕事をキッチリとこなす。何も隠さない。
スキャンダルはすぐに風化する。
(私はロジャーの境地になれるだろうか。)
覚悟だよ、とロジャーは言っていた。最後に残るのがミトだけでもいいのだ、と。
傑も礼於だけでいい、と答えた。
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