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第194話 白薔薇
二人で果てた。しばらく動けなかった。
夕方になると礼於はレオンになって『ディアボラ』に出勤する。以前のようにお客さんと同伴出勤、というのはしない。
みんなが礼於には「愛する人がいる」とわかっているから、プライベートな時間を邪魔しない。
円城寺などは、レオンがいつ辞めると言い出すか戦々恐々としている。腫れ物に触るように大切に、絶対無理な接待はさせない。
それでも真面目なレオンは、遅刻も無断欠勤もしない。淳と零士に心配かけたくないから。
「おはようございます。」
従業員用の入り口から元気に出勤してきた。
今はエントランスもレジ回りも綺麗な盛花が飾られて、菫ちゃんがオーナーになってから華やかさが戻っている。
「いらっしゃい。」
口開け早々、あの白薔薇の千賀子さんたちが、入って来た。
千賀子さんは今、同人誌の評判がいいので、小さな出版社の形にして、代表になっている。ミトやタカや、礼於たちの写真集はこの出版社でしか扱っていないので、小さくても盤石な経営だ。
夕子さんも大学を卒業して手伝っている。
時枝さんは美容師からメイクアップアーティストになり、小鉄の指導よろしく、芸能人の顧客がた
くさん付いている。特にアイドル系美少年のメイクは他から群を抜いている。業界では引っ張りだこだ。
マーブルちゃんはスタイリストになった。リチャーズ商会のポスターでのファッションが注目を集めて、やはり売れっ子になっている。
千賀子さんが笑って、
「仕事が軌道に乗って、自分のお金で、ディアボラに来ることが出来るようになりました。」
今までは安くしてもらって、身内のようなお会計、だった。
アキラは、千賀子さんの出版社専属のカメラマンとして、働きながら,専門学校に通う。
ハル君は映画監督を目指して大学で勉強しながら、映画制作会社の雑用係のアルバイトをしている。
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