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第5話 同室
部屋が用意された。
ベッドのサイズはちゃんとダブルになっている。
よくこの寄宿舎にあったな、とため息が出た。
荷物はあまり置けず、隣の倉庫の一角に置くことになった。
アマギはシャワーを浴びている。
シモンはベッドに腰を下ろした。
アマギのことは、極秘扱いだ。
知れたら男好きが寄ってきてしまう。
仮にアマギがタイプじゃないとしても、魔法で体つきが変わったアマギを試したいと思う奴もいるだろう。
ユンにも、極秘任務のために部屋を移動するとだけ言ってある。
アマギがシャワー室から出てきた。
パンツ一丁だ。
「いや!ちょっと!もう少し自覚を持った格好をしてよ!」
「だって、脱衣所がないじゃないですか。服を置く場所が無いから。」
「バスタオルを羽織ってくるとかさ。」
「……女じゃあるまいし。」
いやいや、あんな女みたいに喘いでおきながら、ここで男らしくされても。
アマギはスウェットに着替えた。
もう、そこそこ遅い時間だ。
「明日は、訓練や仕事は無しで、検査や打ち合わせの1日だね。俺は今からシャワーを使うけど、寝てていいから。」
「……はい。」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
シモンはシャワー室に入った。
一人になり、なんかホッとする。
アマギのことは嫌いじゃないが、バディを組んでからまだ半年しか経っていないので、知らないことが多い。
だから今は一緒にいると緊張する。
シャワーを終え、寝支度をして布団に入る。
ダブルベッドだから、布団を引きすぎてアマギを起こさないように気をつける。
アマギはちゃんと寝ているようだ。
良かった、平和な夜だ。
シモンも眠りに落ちた。
――――――――――――
目覚ましが鳴る。
見慣れない部屋にぼんやりする。
そうだった。
アマギと同室になったのだ。
アマギはこちらにくっつくように寝ている。
寝顔もキレイだ。
「アマギ、時間だよ。」
そう声をかけて、体を揺すった。
アマギはすぐ目を開けた。
もしかしたらもう起きてたのかもしれない。
「おはようございます……。」
「おはよう。」
挨拶はするものの、なかなか起き上がろうとしない。
「あの、これはどうしたら?」
アマギはシモンの手をとり、自分のものを触らせた。
「……朝だから、生理現象でしょ。一人でしたら……?」
「シモンさん、俺のために何でもするって言いませんでしたか?」
「え?でもこれはその範疇じゃなくない?ほら、お前だって、なんか普通に話してるし。」
「……でも、触られたら興奮してきました。」
「触られたんじゃなくて、触らせたんでしょ!」
アマギは顔をほてらせ、息遣いが荒くなってきた。
こうなってしまったら、やるしかない。
「……どうしてほしいの?」
「……キスしてほしい。」
案外可愛いお願いだった。
お望み通りキスをしながら、下半身を刺激していく。
「んん!……ふぅ……!」
アマギはそこまで時間をかけずに処理を終えた。
アマギはシモンに体を擦り寄せてくる。
本当に魔法にまだかかってんのかな?
でも魔法が解けてるなら俺にやらせないだろう。
色んなことが腑に落ちない。
なんとなくいいように使われている気もする。
アマギの頭を撫でた。
猫っ毛の黒髪。
肌の白さとマッチしている。
アマギは確か20歳だ。
俺も20代だが、後半になってやっぱり少しでも若いと違うな……と思う。
顎のラインもスッキリしていて、首筋にエロさが漂う。
不意に首筋に噛みついてみた。
「あっ!やっ……!」
舌を這わせる。
「ああっ!あっ!」
アマギが強くシモンを抱きしめる。
盛り上がったところで、辞めてみた。
「ちょ……なんで……今……急に舐めたんですか……。」
息を荒げながらアマギが言う。
「なんか、いいように使われている気がして、ちょっとムカついたからいじめたくなった。」
「……じゃあ、なんですか、俺か、シモンさんが、本当に好きになればいいってことですか?」
アマギは伏目がちに言った。
「……やっぱりさぁ、魔法はもう切れてるでしょ!昨日と全然違うし!こんなにベラベラしゃべれるんなら大丈夫だよ!」
シモンはムッとしてベッドから立ち上がった。
「……まだ、わかんないじゃないてすか。シモンさんは俺が他の男にヤられてもいいっていうんですか……?」
「そうは言ってないよ。護衛は、魔法が解けたってわかるまでちゃんとする。でも、そんな、性欲の解消のためだけに……するのは嫌なんだ……。」
アマギのことを好きになったわけじゃない。
仕事だからヤるのも仕方ない。
自分が何に苛立ってるのか分からなかったが、いつものアマギに戻ってほしいのは本心だ。
アマギの返事はなかった。
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