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★第9話 ユン

夢を見た。 ベッドで寝ているシモンの上に、ユンが覆い被さっている。 「最近アマギとばかり仲が良くて、妬いちゃうよ。」 ユンが言った。 「ご、ごめん。色々あって……。」 夢の中でまでアマギの話だ。 「俺とも仲良くしようよ。」 ユンがキスをしてくる。 ユンのキスはいつも優しい。 いつも、初めてキスをした時と同じくらいキュンとする。 ユンは俺のものを優しくなでて、舌を這わせた。 「はぁ……っ……。」 声が漏れた。 唇ではんだり、舌先でつついたりして可愛がってくれる。 先っぽを口に含まれ、より濃厚な愛撫を受ける。 「ふぁ……っ!ユン……!」 ユンが吸い付きながら、口から出し入れする。 唾液のクチャクチャした音も響いていやらしい。 「あ……!ん……で、出そう……!」 ユンの口の中に出してしまった。 ユンは俺のを飲み込みながらも、溢れてくるのをまだ舌でキレイにしてくれる。 いつもはこうならないのだが、アマギと一緒にいて自分の感度も増しているのか、早く気持ち良くなってしまった。 「ユン……ごめん……。つい、気持ち良くなっちゃって……。」 ユンをギュッと抱きしめる。 シモンとユンは孤児院で育った。 同い年で最初から気が合った。 15歳の時、夜、一緒の部屋に寝ていて、ムラムラして一人でしているところにユンが気づいて寄ってきた。 恥ずかしかったけど、ユンが手伝ってくれて気持ち良かった。 それから、元々仲が良かったところから恋人になったのだ。 「シモン……俺のこと、好き?」 珍しい質問だった。 「好きに決まってんじゃん。俺が好きなのは、ユンだけだよ。」 ユンと抱き合うと落ち着く。 ユンは頭が良くて優しくて、兄のようでもあった。 大切な家族だ。 シモンは、ユンの背中をなでた。 そして気づいた。 ユンの背中にしては小さい。 しかも、その体つきには覚えがあった。 抱きしめている相手の肩を掴み、静かに引き離す。 相手はアマギだった。 目元はうっとりしていて、瞳にはこの世のものとは思えない怪しく美しい赤い光が宿っている。 「アマギ……?なんで……?」 「……シモンさんが、寝言でユンさんの名前を呼んで……。舐めてほしいっていうから……したんですけど……。」 「俺が?!」 言われたからって、しなくても……。 と思ったが、アマギの経験を増やしてしまった手前、そんな鞭打つようなことは言えない。 「……ごめん……。」 アマギは無言で口元を親指で拭き、手についたものを舐めた。 その舌で愛撫され、その口の中に出したかと思うと、罪悪感もありつつ、少し興奮する自分がいた。 「ユンさんのこと、すごく好きなんですね。」 アマギに欲情している最中にそんなことを言われて、ギクッとする。 「まあ、ね。小さい頃から一緒に育ったから……。」 「……俺も……そんな風に愛されたい……。」 アマギはそっとシモンに抱きついた。 アマギなら、男も女も引く手あまただろう。 そんな願いがあるなんて意外だった。 でも、色っぽく生まれたせいで、逆に純愛が難しくなったのかもしれない。 アマギがユンになりすませたのが偶然じゃないなら、アマギはインギュバスと同じことができてしまった。 もしかして、注射は、アマギにインギュバスと同じ力を与えるものなのかもしれない。

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