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第12話 1週間後

神官ロータスは、もう一人の神官ビャクナと二人の様子について話し合っていた。 「シモンは非常に素直で順調かと思います。ただ、同情しやすいので、悪魔との取り引きに乗る可能性がありますね…。」 ロータスが言った。 「アマギは…半々だな。非常に人間として誠実なところもあれば、すでに悪魔に乗っ取られているところも。この隔離生活がいつまで持つか…。」 ビャクナはため息をついた。 「トマスにはいつ報告をしますか?」 「それが、大神官ザニス様から、アマギの悪魔祓いをすると通達が来た。極秘にとのことだから、トマスへの報告は、そのあとだな。」 「な、なぜザニス様がご存じで?今回は、トマスからの依頼だからこそ、旧友の我々が秘密裏に担当したではないですか。」 「わからん…なぜザニス様の耳に入ったのかは…。」 「ザニス様の悪魔祓いは上級魔族が相手ならわかりますが、今の半人半妖のアマギでは、アマギの人間の精神の方が大変なことになってしまいます…。」 「………………。」 「とめる方法はないのでしょうか……?」 「相手は大神官だぞ……。逆らったら、俺たちもただでは済まない…。」 ロータスはうつむいた。 ―――――――――――― 振り返りの時間になり、シモンはいつも通りロータスと問答をしていた。 だが、逆にロータスの声の雰囲気がおかしい。 何かあったのか聞いてみたいが、規定では指南者の個人的なことは聞いてはいけないことになっている。 「あの…アマギは…元気ですか?」 ずっと気になっていた。 これくらいなら教えてくれるだろう。 『ええ…。真面目に取り組んでいます。』 「俺がちゃんとしなきゃいけないのはわかっているんですが、やっぱり、一番苦しんでいるのは、アマギなので…。あいつは、訓練も勉強も真面目でした。見た目はカッコよくてクールに見えますが、老人や子どもに優しくて人気なんですよ。」 この1週間、自分を見つめた結果、アマギとの半年がとても鮮明に思い出されていた。 「アマギは神経質で几帳面だな、と思っていたんですが、今の思えば、俺は性格が大雑把なんで、あいつがフォローしてくれてたんだな、って気づきました。仕事以外ではあんまり付き合いがなかったから、あいつのことは何も知らないままで…。せっかく、これからだったのに…。」 なんか泣けてきた。 「最初は俺の落ち度のせいで……っていう責任みたいな気持ちだったんですが、今はとにかくあいつを元の兵士に戻してやりたいんです!なんであんないい奴が、こんな目に遭わなきゃいけないのか…!だとしたら、俺は神なんか悪魔と変わりないと思いますね!」 昂って、思わず神官に食ってかかった。 『シモン。悪魔に魅入られると、そうそう簡単には逃れられない。必ず、本人の心の隙間に入り込むからだ。悪魔は、本人に受け入れられるからこそ、写し鏡のように存在できるのだよ。』 「……それは、アマギの中に、インキュバスを受け入れているところがあるから……ということですか?」 『……………。今、ザニス大神官が西の聖石堂でアマギの悪魔祓いをやっている。』 「な、なぜ?ここの目的は、インキュバス化を止める方法がわかるまで修行することでしょう?貴方の話通り、アマギの中にインキュバス化する原因があるなら、確かにここの修行は意味があると思います。なのに、いきなり悪魔祓いなんて!」 『……………。シモンは、アマギを愛していますか?』 「え?」 『アマギがどんな人間であっても、受け入れられますか?』 「…………俺は……アマギを助けたい。それを愛なのかなんなのかを考えるのはお前らに任せるよ。」 二人の間に沈黙が流れた。

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