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侵犯 3

「イくときはきちんとイクって言うんだよ」  打ち付けた下腹が、尻部分だけ露出した肌に当たると、ぱちんと音が鳴る。  その恥ずかしさに、ひどく感じてしまう。  しつこく焦らされたせいで、早く解放してほしいと急く体と捨てきれない自尊心は、まだせめぎ合っている。快楽に溺れたくはないと抵抗する思考。  他人の手によって、性感を極められることを忌まわしく思う後ろめたさは、確かに存在していた。  だが今眼前にいる男が、そんな葛藤をふいに忘れさせてしまう程の手管で快感をもたらし、劣情を日の目に曝し、突きつけてくる。  潤滑油で湿る熱い媚肉の合間をぬるぬるとすべり、行き来する太く逞しい剛直を、腹の内側で味わってしまう。  抽挿のたびに、限界にまで充血した陰茎を裏側から押し上げられ、ぴくんと跳ねる。  その先端の小さな穴からとろりと粘液が溢れてくる。  全ての自らの反応は、恥じらうべきで咎めたいものなのに、欲情を鎮めるための突き上げに身を預けてしまう。  ぐっと腰を引き付けられると、背がしなって、反った喉がひくついた。  容赦なく絶え間のないピストンに、足先から太腿までが、ぴんと張り詰めた。  頭の中が白く染められる。  射精と似ている、しかし決定的に違う何か、自分を変えてしまうものに呑まれようとしていた。わずかに残った理性が押し留めようとするが、最早止められるはずもなかった。  そんな内心を知ってか知らずか、ひときわ敏感な陰嚢の裏側あたり、神経の集まる一点を強く擦り上げた。腰を跳ねさせ、高められる快楽に、恥じらいを覚える間もなく揺すってしまう。  力強く突かれ、何度もそこを引っ掻かれ、高ぶっていく体を追いたてた。  たまらずに手ぐり寄せたシーツに、破くほど爪を立てて掴む。  確かな手管に押し上げられる。その技量に抗えようはずはない。突き上げられる回数を重ねるだけ、極まりに近づけられていく。閉じた瞼に、ちかちかと光が散った。 「…っ、ぐぅ…ッ……い、く…っ、イっく……ぅッ!!」  体の上に乗る男の言葉通りに、快楽の中枢からせり上がるように洩れ出た声で絶頂を宣言していた。声に出せば自己の体に起こる、意志とは無関係な強烈な襲いくる震えを思い知らされる。  腰が大きく跳ねた瞬間に、痛い程に張り詰めていたそれが弾けた。びゅぐっ、と音がしそうな勢いで脈動し噴き出す。飛んだ自らの子種は胸までを汚していた。  吐き出した瞬間に刹那、意識が白んだ。  ぱちん、と肌を打ち、抉り抜く衝撃で引き戻される。  ベッドに足の爪先をつき立て、全身を強張らせた。  深過ぎる絶頂は射精だけで終わらなかった。

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