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侵犯 5
根元まで挿入してから、バルドは腕を回す。
その体は武芸を極め成熟しきっており、すでに完成されている。衣服越しでも無駄のない肉体の厚みを伝えてくる。
体躯だけでも確固たる矜持を感じさせる騎士に、雄を求めさせる行為を強いる征服感で屹立はより硬さを増した。
腰を引き寄せて、さらに深い交合に導く。
曲げた脚の上に座らせて、みっちりと楔を食いこませた。
「この体位は奥に当たるね」
低い囁きに、下腹に力が籠もったのがわかった。ぎゅっと浅いところから深い奥までが引き絞られる。
抽挿ではなく内壁を押し込むように掬いあげる。
腰が持ち上がり、太い幹から先端にまで絡みつく柔い肉がかすかに震える。
「……っ、ふぅ……ッ」
甘く、どろりと染み込むような快楽に、脊柱の根元から頭に向かってしびれが走った。
再び下から持ち上げるように動かし、とんっと奥に当てると、心地良さそうに背を戦慄 かせた。
甘い絶頂感が波のように寄せて、強く弱く続いていく。
いつの間にかバルドの首に絡めていた腕を引きつけて、脳まで侵食する快楽を感じながら縋った。
「きゅんきゅん締め付けて……君の中は、溶けそうなぐらい熱いな」
激しいピストンで与えられた絶頂とは違い、長く持続する緩やかな痙攣は、思考をめちゃくちゃに掻き混ぜ、蕩かせて支配してくる。
恥じらいもなく腰を振ってしまいたい、もっと深い愉悦を貪りたい、何度でも昇り詰めさせられたい。
制御しようとも、そんな考えが浮かんできては、そのたびに体の奥を穿つものをきつく包みこんでしまう。
「あっ……あぁ…ッ……奥に……来る……っ」
入る限りの深い部分を、揺さぶられるように押し上げられて、熱っぽい吐息と鳴き声を上げた。
たまらなかった。どうしようもなく声が出て、腰が跳ねてしまう。
弱い痙攣が、強い震えに変わり、明白な快感になって湧き上がってくると、陰茎からも粘液が飛び出てくる。白く濁ったねばっこい絶頂の証だった。
全てをどろどろに変えてしまう悦楽は、延々と途切れない。
脳裏には、底なしの沼に引き込まれ、沈んでいくような想像がよぎる。
許し難い恥辱を与えた男に媚びてしまっている。憎しみを忘れたくはないはずなのに、首にすがり抱きしめている。
心の底に形になった罪悪感は、誰にともない感情だった。
未だ眠っている主君には、無論見られたくないと思っているが、他人に向けたものではない気がしている。
自らを騎士と認めた仕えるべき王国に対してか?
騎士を志してから、慎ましく清貧であれとずっと教えられてきたからか?
清廉潔白にと努めてきた、自分自身に対してかもしれない。
こんな罪深い行為を知りたいわけではなかった。
己はただ課せられた使命を果たせれば、それでよかったはずなのに。
捨てきれない悔しさに歯噛みし食い縛っても、すぐにゆるんで、喘ぎが喉の奥から洩れてしまう。
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