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侵犯 6
「中に出してあげよう……しっかり締めて」
悪魔的な柔らかい声が流れこんできた。
骨張って存外に大きな手が、腰をがっしりと固定した。
期待感と、過分な快感に対する多少の恐怖。
しかし、それを想定しても、抱擁めいて首に回した手をアルヴァがほどくことはなかった。
みっしりと深く貫く、太さと硬さのあるものを否応なく意識した。
「ん゛ッ……アッ、あ゛ぁっ……奥、っ……いぃ…ッ」
掴まれた腰を持ち上げられ、力が緩められると落ちるように押し拡げて挿っていく。最も深いところへのその交合にあわせ、さらに突き上げられる。
自らの体重そのものによって抉り抜かれる被虐に、下腹をひくつかせ身悶えた。
鍛え上げた頑強な体は、外見よりも密度があり当然重さもある。その分だけ沈み深く咥え込んでしまう。
内壁に先刻たっぷりと塗りこめられたオイルが、撹拌されるたびにぬちゃぬちゃと鳴っている。その音が体内から頭の中に響いた。
バルドは抱き寄せながら、目の前にある首筋に唇を這わせ、熱い肌をなぞっていった。
腰をゆっくりと回すように、柔軟な隘路をねっとりと捏ねる。
「……ふぅ、っ……はぁ…っ……あぁぁッ……」
緩急をつけた巧みな責めに、無意識の内にとろけた甘い嬌声を洩らしていた。
首の薄い膚を吸いながら突き上げていく。
極まりに追い立てるような、徐々に早まっていく腰遣いが、抵抗を考える余裕を与えることはない。
ぱん、ぱんと空気の混じった音だけが耳にとどいている。がっちりと腹を掴み固定する手に、動きを支配された。
抱き締めている相手を、両脚でも挟みこみ体を預けていた。えも言えぬ歓喜をもたらす男を、腕だけではなく抱擁じみて、無心に内壁でぎゅうっと締め付け続ける。
時折おとずれる快楽のさざ波に、体を強張らせて、長く深い息を歯の間から吐き出す。もはや何度出したか知れない陰茎は、その度に透明混じりの射精とも言えない、あえかな脈動をした。
正面から体を重ね合わせて腕を回して密着し合う。
その体位はまるで恋し慕いあう者同士の睦み事のようでもあり、性感のみならず感情の部分でも満たされている。
一度といわず自尊心を踏みにじられたはずだというのに、この男の腕を振りほどけない。
悔しさも、行為に溺れる自分自身への侮蔑も、快楽の前に薄れてしまう。
抵抗を考えても思惟は形を結ばない。
体内奥深くを擦り立てる剛直だけを意識してしまっている。
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