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第11話(気まずい律※)
「ハァハァ…。ウンッ…アッ!そこ気持ちいい…。翔さん、もっと…お願い」
「律…ハァ…君は素直だな、嬉しいよ」
「アッ、そんな激しく動くと…アッ…俺もうヤバイ…」
「アッ…お願い…もう、イかせて…」
「律…そんな声出すな!…余裕が無くなる…」
「アッ、そんな…急に激しく動くと…俺もうアッ…ウンッ…ツッ…。ヤバイって…アッ、アッアッイクッ…翔さんイク…」
「いいよ律、ハァ…一緒にイこ!」
「アッ…アッ…アッ…イク…イク…イクー!!」
「うわっ!! な、なんだ? なんだ? 今のは?ゆ、夢か? 」
自分が見た夢に激しく動揺をしながら起きた律は1人でパニックになっていた。
「夢か、夢だよな…良かった…」
少し落ち着きため息をついたが、
「イヤイヤイヤ、いくら最近してないからってこれはまずいだろ!」
と、改めて考え直した。
「それに…なんで相手が翔さんなんだよ! しかも俺が受けなのか? なんでだ? 」
「イヤ、違う、違う! 気にする所はそこじゃない!」
自分で言った事にツッコミながら、下半身をそっと見てみる。
(うわ~めちゃくちゃ立ってるじゃん! 朝立ちより凛々しすぎだろー)
律は自分のそれを呆れたように眺めながら、悶々とした気持ちをスッキリしたくて、自分でする事にした。
上下に動かすとすぐに気持ちよさが湧き上がってきた。
(アッ…クソッ…なんて夢だ! 次、翔さんに会ったらなんて顔したらいんだ。アッ…ハァ…ハァ…ンッ…気まずく…ならない…アッ…ンッ…ようにしなきゃ…アッ…イク!!)
「ハァ…ハァ…ふー、スッキリしたけど、スッキリしねー」
1人でした律は、スッキリしたと同時に、そんな夢を見た気まづさが襲ってきた。
(俺、相当溜まってるのかな? 最近AV見てないしな。翔さん、綺麗だからそんか夢見たのかな? でも俺が受けなのは納得しない!)
変な事にこだわりながらも、
(翔さん、ごめん! やましい気持ちはないから。)
見当違いな謝りをして、心を落ち着かせて仕事の準備を始めた。
「律ーなんかうるさいよ! どうしたの?」
雪がドアの向こうから声をかけた。
「だ、大丈夫だ! 大きな独り言だ! すぐ行くから待ってくれ!」
慌てて残りの準備をして、律は部屋を出た。
「変な夢みて起きたから、バタバタしたわ!」
「変な夢ってどんなの?」
雪が無邪気に聞く。
(ウッ!雪だけには言えない…)
「いや、翔さんに踏みつけられる夢だよ! あの人意地悪だからな!」
「あはは! 倉木先生、いつも律からかってるから、変な夢ってより、現実じゃない?」
「最近本当に仲良いよね? 律が年上の人に懐くの初めてみるかも?」
「イヤイヤ、別に懐いてないぞ! ただ、ご飯奢ってくれるし、仕事の愚痴とか俺の好きなアーティストとかの話聞いてくれるから、楽しくて」
「それを、懐くって言うんじゃないの?」
クスクス笑いながら雪が嬉しそうに話す。
雪は、いつも自分の事で律に迷惑かけてるから、律が楽しそうにしてる姿を見て嬉しいのだ。
(律って人の事も自分の事も疎いから、気づいてないと思うけど、相当倉木先生に心許してるよね。こんな律が見れて嬉しいな)
2人は違う思いを抱きながら仕事に向かった。
「そうだ! 雪、今日は俺実家に帰らなきゃだから、帰り一緒に帰れないんだよ。翔さんか斉川先生に送ってもらうようにするか?」
「えっ? 大丈夫だよ! あれから2週間はたってるから、もう来ないよ。1人で帰れるよ。」
「大丈夫か? とりあえず早く帰れよ!」
「うん、今日はそんなに入ってないから、明るいうちに帰れるよ」
2人が歩きながら病院の前を通ると、さくらが中でから出てきた。
「おはようございます!」
2人に声をかける。
「あれ? 今日は早いね? 俺らホテルの子がいるから早く出勤したけど、まだ8時だよ?」
「昨日夜オペの子がいて、お兄ちゃんが心配だからって泊まったから朝ごはん持ってきたの」
さくらは弁当箱を見せて笑う。
「あっ、そうだ! さくらちゃん、俺、今日雪と一緒に帰れないから、翔さんか斉川先生に雪を送るの頼めないかな?」
「律! 大丈夫だよ、さくらちゃん言わなくていいからね!」
「えっ?ダメですよ、雪さん! お兄ちゃん今日は大丈夫な筈だから言っときますよ!」
「えっ? でも夜オペした子がいるから見ないとダメなんじゃない?」
「お兄ちゃんが、今日は律さんがいなくて翔さん暇してる筈だから、夜勤にさせるって言ってましたから」
笑いながらさくらが律を見る。
「さ、さくらちゃん、それって俺がいつも翔さん連れ出してるみたいじゃん!」
「だって、翔さんいつも律とご飯にーって言ってそそくさ帰っていくんですもん」
(イヤ、全然応援してますけどね! 翔さん頑張ってるから。律さんはまだ全然気づいてないけど、距離は近くなった気がする)
満足そうに頷くさくらに、
「さくらちゃん、忙しいなら全然大丈夫だからね。僕1人で帰るから!」
「大丈夫です! 後で連絡させますから!」
「誰が連絡するって?」
さくらの後ろから倉木が現れた。
(ヤバッ!! 翔さん来ちゃった! マジで顔見れない!)
律が急にオドオドしだした。
「ん? 律どうした? なんか挙動不審だぞ?」
「いや、なんでもないっす! ほら、雪! 仕事あるから急ぐぞ!」
「えっ? あっ、うん。じゃあさくらちゃん、先生失礼します」
雪は律の後を慌てて追いかけた。
「なんだ? 律の奴? あんなな慌てて?」
不思議そうに倉木が言った。
「翔さん、律さんに何かしたの?」
「してないぞ? 昨日も普通だったし」
変な奴…とつぶやきさくらと病院に入っていく。
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