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第16話(デートの約束)
雪が部屋に戻りプリンとまったりしてると、携帯が鳴った。
「あれ? 先生だ!」
携帯の画面に斉川先生と出て、急に雪の心臓はバクバクしてきた。
(なんだろ? フゥー)
深呼吸をして、心を落ち着かせて電話にでる。
「もしもし、先生どうしましたか?」
「うん、雪今度の休みっていつだ?」
「えっ? 休みですか?」
なんで急に休みを聞かれたのか全然分からない雪だが、正直に答える。
「えーっと、次の休みは明明後日の火曜ですけど?」
「火曜だな? 病院も休みだから、一緒に出かけないか?」
斉川の急なお誘いに雪はビックリした。
「えっ? 僕とですか? 」
「お前と話してて、他に誰がいるんだ?」
当たり前な返しをしてくる斉川に、
「そ、そうですよね、ちょっとビックリしちゃって…」
「予定があるならいいんだぞ」
「あ、全然ないです、ないです! 暇してます!」
慌てて、答える。
「なんだ、そりゃ? 」
フフと珍しく斉川の笑い声が聞こえた。
(あっ、先生が笑ってる! 電話じゃなくてちゃんと顔見たかったなー)
「大丈夫なら、買い物にでも行かないか? ちょっと聞きたいこともあるし」
「はい、大丈夫です! 僕も聞きたいことあったので」
(この機会に、さくらちゃんの事聞いてみよう! あと、兄さんの良い人アピールしなきゃ! 斉川先生に気に入ってもらえるといいなー)
雪はこの機会に頑張ろう!と心に決めていたが、実は斉川も雪に颯太の事を聞きたかったのだ。
(雪の兄だから、どんな人かは雪に聞けば1番分かるはず)
「じゃあ、場所や時間は、後でLINEするから」
「はい、お願いします」
電話を切って、雪は、
(うゎー、先生と初めてのお出かけだ! ご飯は食べた事あるけど、まる1日とかなんて、どうしよう…)
嬉しさ反面、緊張反面と、複雑な感情でなかなか眠りにつけない雪だった。
一方律の部屋では、
「翔さん、またテレビ電話っすか? 実家じゃないから部屋汚いっすよ?」
「全然綺麗じゃないか? 律らしい部屋だね」
翔は、律の部屋が見れたので嬉しそうだ。
「ねえ律、次の休み火曜だよね? 予定いれてる?」
「今の所、CD買いに行く位しかないっすね。好きなアーティストが新曲を出したので買いに行こうと思ってて」
「それ、俺も一緒に行ってもいいかな? 大学の同期と会う予定だったけど、仕事になったらしくて、暇なんだよね」
「全然いいっすよ! ついでに服見てもいいっすか?」
「全然いいよ!わーい、律とデートだ!」
倉木が無邪気に喜びをアピールする。
「翔さんは、相変わらずっすね? そういえば翔さんって彼女いないんっすな?」
律は今まで聞いた事無かったと思い、聞いてみた。
「おっ! 律がようやく俺に興味を示したな?」
「イヤイヤ、多分いないとは思うけど、一応ね」
「なんだい?いない前提か」
少し拗ねて倉木は話しだした。
「前の彼女とは別れて半年位立つかなー?色々あって大変だったよ」
「なんっすか? 色々って?」
「説明すると長くなるけど、簡単に言うと彼女の浮気かな」
「いや、簡単っすね! わかりやすいわ」
律はちょっと拍子抜けになった。
「はは、そうだね。浮気したのは彼女だけど、原因は俺にもあるしね」
「えっ、翔さんに? 仕事が忙しいとかで、会ってあげなかったとか? それか愛が重い子で私だけを見て! って言ったりして、相手にしなくて、わざと浮気したとか?」
「イヤイヤ、俺どんな奴だよ!」
違う違う、と倉木は笑った。
「逆で俺の愛が重かったみたいだよ。俺、付き合うと尽くしちゃうから嫌だったみたい」
「えっ? 翔さん、そんな尽くす人なんっすか?」
「うん、俺好きになると、最上級に甘やかしちゃうからね、だから重いって言われるだけどね」
「凄いっすね? 彼女? 浮気するなら別れたらいいのに」
律は翔の話に不満そうに言った。
(こんな優しい翔さんを裏切るなんて、どんな女だよ! でも、最上級に翔さんに甘やかされてたんだよな?)
チクッ!!
突然、律の胸が痛んだ。
(なんだよ、チクッって? 俺だって重い子は嫌いだろ? なんで翔さんの元カノの事を聞いて胸が痛むんだ?)
律は自分の感情が何か分からず、頭をガシガシかいた。
「律、どうしたの?」
「いや、なんでもないっす! じゃあ火曜昼くらいで大丈夫っすか?」
「うん、楽しみにしてるね」
電話を切った律は、ゆっくり考えてみた。
(なんで、俺は翔さんが他の子を甘やかしてる話を聞いて悲しくなったんだ? 俺は翔さんといると楽しいから、彼女が出来ると遊んでもらえないからかな?)
(うーん、それは寂しいな…今俺に向けてる笑顔を他の人に独り占めされるのかー…)
律はまだ自分の気持ちに気づけず、1人でアレコル考えて疲れてきた。
「まっ、いっか! 流石に彼女が出来ても遊んでくれるだろうし。俺はそんな心狭くないし」
考える事を終了して、律は寝ることにした。
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