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第23話(斉川の告白…少し※)
『あ~疲れた! 』
こちらの雪と律も2人で同時に声がでた。
(ハァー、今日1日和希さんの事考えて疲れたなー連絡したいけど何て入れようかな…)
(クッソー! もう夜になった! 全然考えがまとまらない。翔さん、本当に本気だったのかな? )
各々頭の中で考えすぎてて、疲れきってる様子だ。
ガチャ
「雪、仕事終わったか? 」
そう言いながら斉川が入ってきた。
「か、和希さん! どうしたんですか? 」
突然の斉川の登場に心の準備が出来てない、雪が、狼狽える。
「…少し話があってな。ご飯行けるか? 」
「は、はい。もう終わったので、大丈夫ではす! ちょっと待ってて下さい! 」
「律、先に帰って大丈夫? もし、辛いなら一緒に帰るよ? 」
少し後ろに立っていた、律に駆け寄り小さな声で聞いた。
「大丈夫だって! 俺は疲れたから帰って寝るわ。先生、雪をよろしく」
「ああ」
「じゃあ、お先に! 」
律は2人の邪魔をしないように、先に店を出た。
(雪すっごく嬉しそうな顔をしてたなー。やっぱり斉川先生の事好きなんだな…いいな、素直に好きって思えて…)
そう思いながら、KS動物病院の横を早足に通り過ぎようとした。
その時、前から歩いてくる女の子に気がついた。
(あれ? あの子、昨日本屋で会った元カノじゃあ? )
その女の子は律には気づかず、スタスタと動物病院の中へ入って行った。
(やっぱり、元カノの子だ! 翔さんに会いに来たのかな? なんだよ、偶然とか言ってた癖に、頻繁に連絡とってんのかよ! )
チクッ
また律の胸が痛くなる。
(クソッ! なんだよ、俺。本当にヤキモチ焼いてるみたいじゃないか! 翔さんが誰に会っててもいいだろ! 俺には関係ない! )
そう思いながらも、病院の中で楽しそうに話す、倉木と彼女を見るのが怖くて、律は走ってその場を去った。
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「えーと、どこに行きますか? 」
雪のお店を出た2人はとりあえず歩き出した。
「雪は何が食べたい? 」
「僕は何でも大丈夫ですよ、まだそんなにお腹空いてないので」
(正直、食欲無いし…)
「じゃあ、ご飯の前に少し話せるか? 」
急に、緊張するような事を言われ、
「えっ? は、はい」
体が固くなる雪。
「そんなかしこまるな、そこの公園で話そう」
「…はい」
2人は静かな公園のベンチに座る。
(うわー、話ってなんだろ? 今朝の態度の事かな? 昨日の事かな? 怖い…)
「雪」
「は、はい! 」
思わず大きい声で返事をしてしまう。
「なんで、そんなに硬いんだ? 」
「いえ…なんか緊張しちゃって…」
「お前が、そうだと俺にも移るから、やめろ」
「えっ? 和希さんでも緊張する事あるんですか? 」
「お前、俺をサイボーグが何かかと思ってるのか? 俺も緊張する時はあるぞ」
心外だな、と顔をしかめる。
「ふふ、すいません。和希さんの緊張してるのがおかしくて」
「おっ? やっと、笑ったな。やっぱりお前は笑顔が似合う」
そう言った斉川も顔が緩む。
「和希さん…」
そんな風に思ってくれた斉川に雪は嬉しくて、涙が出そうになった。
(やばいな、僕やっぱり和希さんが好きなんだ)
「雪、今日声をかけたのは昨日の事を言おうと思ってな」
急に本題を出され、また少し緊張気味になる。
「昨日俺は、お前にキスしようとした。それは事実だ」
正直に斉川は話出した。
「俺は口より先に行動してしまうらしいから、さくらにも怒られた」
そう言って、斉川は雪の頬に手を触れた。
「昨日の雪の喜ぶ顔を見たら、無性に触りたくなった。触ると、さらに近づきたいと思った、雪の全てが欲しい。他の誰にも雪を渡したくない、俺の物にしたいって…」
一呼吸置いて、
「…雪、お前が好きだ、お前を恋人にしたいと思ってる」
斉川は自分の思いを、ストレートに伝える。
「和希さん…」
雪は斉川がここまでハッキリと言ってくれるとは思って無かったので、嬉しいと共に驚いた。
「あの、僕も…和希さんが好きです」
雪も斉川の顔を見ながら、自分の気持ちを伝えた。
「それは、今家や兄のようにか? 」
「ち、違います! 僕も…恋人の様に好きです」
初めて人に告白した雪は、恥ずかしくて顔が赤くなる。
「和希さん…あんまり見ないで下さい」
頬に手を触れたまま、斉川は雪の顔をずっと見ていた。
恥ずかしくて、下を向く雪の顎を再度持ち上げ、
「雪、俺の恋人になってくれるな? 」
「はい、もちろんです」
「じゃあ、もう遠慮はいらないな? 」
グイッ!!
雪の肩を自分の方に抱き寄せた。
「あ、あの和希さ…んっ! 」
言い終わる前に雪の唇は斉川に塞がれてしまう。
初めてのキスに雪の心臓は今までになく飛び跳ねる。
斉川は肩から腰に手を滑らせ、更に雪を抱き寄せた。
「あっ…」
斉川と体が密着し、雪は驚いて唇を離す。
斉川を見上げる雪の顔は、少し潤んだ目に火照った顔。
それは、斉川の理性を壊すのには充分だった。
再度、斉川がキスをしてきた。
今度は、少し激しく雪の口の中に入ってくる。
「アッ…ウン…和希さん…」
口を開けられ、舌を絡め取られる。
おずおずと出された雪の舌を、更に吸い取り愛撫する。
「アッ…ハァ…アン…和…希さん」
雪は斉川の激しいキスに体の力が抜けていく。
斉川はそのままベンチに倒れ込む雪の上に、覆い被さる。
激しいキスの後、そのまま雪の首筋に顔を埋め、キスをしていく。
「えっ? …アン…ちょ…和希さん? ちょっと待って…アッ」
雪の言葉など、ガン無視で雪の首筋にキスをしながら、左手を雪の服の下に滑らせる。
流石にマズイと思った雪は、
「ちょ! 待って下さい! 和希さん! 」
力いっぱい、斉川を押し上げる。
「これ以上、ここではちょっと…」
泣きそうな顔で、訴える雪に、ようやく離れた斉川は、
「悪かった…お前に触れるとつい…お前が嫌がる事してすまない」
「嫌とかじゃなくて、流石にここでは、恥ずかしいです…嫌ではないですよ…」
恥ずかしそうに、俯きながら答えた。
フゥー! と溜息をつき、
「悪い、落ち着いた。嬉しくてがっついてしまった。雪に触るとダメだな」
「外では、気をつけるよ」と、少し反省した斉川だった。
「とりあえず、メシ食いに行くか? 」
「はい、安心したら、お腹空いちゃいました! 」
雪は嬉しそうに、斉川の後をついて行った。
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