24 / 42
第24話(倉木の元カノ再登場!)
ガチャ
「ただいま」
「おっ! おかえり。雪、先生とはどうだった? 」
雪の帰りを待っていた律は、帰ってきた雪に真っ先に尋ねた。
「えっと…付き合う事になったよ」
恥ずかしそうに律に話した。
「オー!! そっかそっか、よかったな! 」
律は嬉しそうに、雪の頭をグシャグシャした。
「大丈夫だとは思ってたけど、まさか無かった事にーなんてなってたら、殴ってやろうと思ってたぜ」
「もう、律ったら」
律は雪を抱きしめ、
「雪、本当によかったな。これで俺のお守りも卒業かな? 少し寂しいけど、先生なら安心して、任せられるしな 」
「律…、いつもごめんね、ありがとう。 僕も和希さんや律に迷惑かけないように、ハッキリ断れる様にするよ」
「お前はいんだよ! それするとまた安田みたいに逆恨みされるからな。ホントにあいつは頭イカれてるぜ! あれから接触とかないのか? 」
「うん、全然だよ」
「なら、よかった。先生と付き合ったからって、俺とも遊んでくれよ? 」
「もう! からかわないでよー。いつも通りだよ」
「はは、そうだな。仕事一緒だし」
ドサッ!!
音にビックリして振り返った2人は、カバンを落として驚いてる颯太がいた。
「あっ…兄さん。お、おかえり」
「あー、今の聞いてたかな? 」
「雪ー、お前あいつと付き合う事にしたのか? 」
雪の両肩に手を置いてユサユサ揺さぶりながら、颯太が聞いてきた。
「う、うん。兄さん、揺らさないでよ」
颯太に揺さぶられ、頭がクラクラしてきた。
「フゥー、もう! 帰ってきたらちゃんと言うつもりだったんだから、慌てないでよ! 」
「颯太さん、雪が先生の事好きなの知ってるのに、なんで付き合うってなったら、そんな慌てるんっすか? 」
「好きだけと、付き合うは違うじゃないか! 付き合うなら、キスとか色々するんだろ? あー、あいつに雪を食べられる! 雪、まさかもうしたんじゃないんだろうな? 」
「ちょっと! 兄さん、やめてよ! 」
「しばらくは、健全な付き合いをしなさい! 」
律が呆れたように、
「いやいや、健全な付き合いって、中学生じゃあるまいし。こないだだって、キスしようとしてたんだろ? じゃあキス位はもうしたんじゃないか? 」
ニヤニヤしながら、雪を見る。
「ちょ!律! 」
雪は公園での出来事を思い出して、首まで真っ赤になった。
「雪、赤くなってるじゃないか! まさか…お前…」
「もう! 2人共止めてよ! この話はおしまい! 」
「それより、兄さんはさくらちゃんと連絡とってるの? 」
「すぐ話をすり替える。 一応とってるぞ、今度ご飯に行く約束した」
「おー、颯太さんにしちゃ、勇気出しましたね? 」
「ホントだ! 僕の事はいいから、さくらちゃんと楽しんでね」
「クソッ、2人して俺をからかいやがって! 」
フンッと呟いて、自分の部屋に入って行った。
「ハァー、もう兄さんはしつこいんだから! 律も同調しないでよ! 余計兄さんに質問攻めにされちゃうんだから」
「はは、悪い悪い、つい嬉しくてな。それより本当にキスとかしたのか? 」
「…うん」
公園での出来事を話すと、
「マジか? 先生すっげーな? 想像より野獣だわ」
感心したように律が感想を言う。
「でも、雪も嫌じゃなかったんだろ? 」
「嬉しかったけど、恥ずかしくて、死にそうだった…」
「最初はそうだよな。そのうち慣れるよ」
「だと、いいけど心臓が持たない…」
情けない顔をする雪に、
「雪が止めて、って言ったら止めてくれたんだから、雪の気持ち尊重してくれてるよ。雪のペースで進めばいいさ。頑張れよ」
「うん、ありがとう律! ところで律は倉木先生に連絡したの? 」
「その話するなよー、まだしてないよ。まだ話すの気まずいし…」
(さっき、和希さんに倉木先生の様子聞いたけど、言わない方がいいかな? 律の様子見てると会えなくて辛そうだけど、まだ答えが出てないみたいだし)
「そっか、早く話せるといいね」
雪は律の背中をポンポン叩いた。
「そうだな、じゃあ寝るか! 雪の話を聞きたくて待ってたから、眠いわ」
ファーアと欠伸をしながら、律は自分の部屋に入って行った。
雪も自分の部屋に入る。
「アン! アン! 」
プリンが嬉しそうにしっぽをフリフリしながら、飛びついてくる。
「プリン! ただいまー」
雪はプリンを抱っこしながら、今日の出来事をプリンに聞いてもらった。
プリンに話しながら、思い出してまた顔が赤くなる雪だった。
__________________
雪と斉川が付き合いだしてから一週間が過ぎた。
律は相変わらず、倉木に連絡が取れず、悩む日々を送っている。
(ハァー、今日も翔さんに連絡出来なかった! 俺、何やってるんだろ? 普通に連絡して、今まで通りがいいって言えばいいだけなのに…なんで言えないんだ? )
「あー! 俺ってこんな優柔不断なのか? クソッ! 」
思わず声に出て、訓練中の犬がビックリする。
「あっ、ごめん。驚かすつもりはないよ」
優しく犬の首筋を撫でて、落ち着かせる。
(犬にまで困らせて、俺ってば…でも連絡出来ないのは今まで通りが嫌なのかな? 実は翔さんと付き合いたいって事か? でも付き合ったら、別れもくるだろうし…)
律は倉木との関係が心地よくて、別れて会えなくなるのが怖いようだ。
(友達なら、別れるとかもないのに…なんで恋人だと別れるとかになるんだろう…ずっと一緒なんてありえないよな? )
律は今までの彼女達を思い出して、また悩み出した。
ガチャ
「いらっしゃいませ! 」
入口が空いて、女の子が入ってきた。
「ご予約のお客様ですか? 」
雪は予約表を見ながら、確認をする。
「あっ、すいません、違います。あのー、私丹治って言いますが、今家さんっていますか? 」
「今家ですか? はい、いますが…少々お待ち下さい」
雪は保育園の方に入って行って、律を呼ぶ。
「律、今丹治さんって女の人が、今家さんいますか? って来てるけど? 」
「えっ? 丹治? 誰だ? 」
「知らない人? 」
「うーん、その名前に記憶はないけど…行ってみるよ」
「うん、僕今暇だからワンちゃん、見てるよ」
「ああ、よろしく」
「すいません、お待たせしました。今家ですが…あっ! 君は…」
「こんばんは、こないだ本屋で会った丹治といいます」
受付に居たのは、倉木の元カノの愛菜だった。
ともだちにシェアしよう!