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第20話
「……こんなことで許されるとは思っていない。けど……少しずつでも、罪滅ぼしがしたくて」
「へ? 何のこと?」
発端は俺が催眠かけたせいだというのに、すっかり上機嫌の俺は調子に乗って、真剣な慧の気持ちをおざなりにしていた。
「だから……。あ……そ、そうだな……悠太にとっては思い出したくもないことだよな……こ、この前僕が君を……」
「あー……」
そっちか。そっちね。
ていうか慧が悩むとしたらそれしかないだろ。
「俺は……さ。橘花さんが覚えてなくて……どういう気であんなことしたのかはあくまで推測だけど……でも、ちょっと強引ながらに、なんか納得したっていうか」
「ど、どういうことだ?」
「……だって橘花さん、前から友達以上の感情で俺を見てた感じ、あったっていうか?」
まあ、それは具体的には俺のことだ。
俺みたいな人間は親友どころか友にすら……関わっちゃいけないかもと卑下して、慧を神格化して、でもずっと後ろめたい感情で彼を見ていた。
と、方便にもほどがあるのに、慧は何故かみるみるうちに頬を赤くして。
そんな馬鹿みたいな嘘、なんで信じるんだよ。ふざけたこと言うなって追い出せよ。
「ぼ、僕が……悠太を……その、実は変な目で見ていたというのは、紛れもない事実……だったのか」
「えーっと……だからさっ、それは潜在意識の中の話だろ? 催眠なんかがなかったら……ほらっ、普通に話せてるじゃん!? ほ、本当にもう気にしてないから……」
こっちが困惑するくらい、慧は自分の潜在意識というものに囚われている。
セックスが好きとか、淫乱とか、適当に取って付けた設定はかなりの想定外だったのか。
なんかそれはそれで、わかってたけど傷付くな……。
でも、気にしていないと言いながら慣れない笑みを見せる俺を、慧はずいぶん器の大きな男だと思ってくれたようだった。
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