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第26話

 え、えーと……今回はどんな言い訳しよう……。  慧からすれば、親友を家に呼んで楽しくティータイムしてたはずが、気付いた時には明らかにシーツに精液ベットリってことでしょ?  俺が帰ってからオナニーしてただけって記憶ならともかく、中出ししたせいでまた俺とセックスしたって、それくらいは察する訳でしょ?  逆レイプされたってのはもう効かない気がするし……もうちょっと踏み込んで、実は親友以上恋人未満の、セフレに昇格しましたとか……言うだけ言ってみる? 「と、ととととりあえず全速力でシーツ洗おう! 慧の身体も洗わなきゃだから風呂場で! 俺も手伝うからさ! もし親になんで今シーツ取り替えたのとか、シミがついちゃったりしても、紅茶やコーヒがこぼれて応急処置……とか言えば良いんじゃないかな。こ、このままクリーニングに出す訳にはいかないし」 「う、ん……そう言われてみれば、確かにそうだね……僕はずっと悠太のザーメンの臭い嗅いでいたいけど♡」 「いや、うん。褒め言葉として受け取っておくけど……洒落にならないからそれ。うあぁ……やっちまった……落ちるかなこれ……」  なんて、さすがに俺も冷や汗をかきながら慧や自らが出した分の精液の掃除を超特急でする。  服も整え、窓を開けて少しでも情事独特の臭いを薄めさせるようにして、ほとんど元通りにした。  なんとか洗い方を検索してそれなりに綺麗になったはずだけど、ハラハラしすぎて口から心臓が出るかと思った……。  慧は余っているスイーツをお土産にとくれたけど、俺は食べ物どころの緊張感じゃなかった……。  そんな自分本位なことばかり考えつつ、彼の家族が帰宅するギリギリの時間にそそくさと橘花家を後にした。  にしても……催眠かけてるにせよ「子供ができたら責任取って」だなんて。その場のムードがあるとはいえ、男が言うことか。  ……やっぱり少なくとも慧の家庭は、慧自身は、そんなに幸せだとは感じていないのかな。  俺みたいな奴と暮らす方が良いように思うなんてどうかしてるのに……。

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