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第28話

 案の定、というか……かなり歩きにくそうに登校してきた慧は、自らの席に座るのもぎこちない様子だった。  そんな慧に俺は悪びれもなく近寄っていく。 「橘花さん? どうしたの? なんかすごく汗かいてる。身体重そうだし……体調悪い?」 「えっ、あ……いや……な、何でもないんだ」 「でも……やっぱり具合悪そうだよ。保健室行く? 付き添うよ?」 「ほ、本当に……平気、だから……」  暑い季節でもないのに、慧はうっすらと肌に汗を浮かべ、表情がわからないように俯いている。  尻の中のものがつらいだけじゃなくて、今の慧は……俺を見たら欲情してしまうくらいに性の虜なんだ。  慧の家で中出しセックスした後、催眠が切れる前に俺はもう自棄になって、セフレ作戦を実行してみた。  慧が俺を好きである、という催眠下の設定な以上は、それも案外上手くいくもので。  慧の中での俺は今、慧の性処理を手伝ってやる係になっている。  もちろん自分からやりたい訳ではないけど、唯一無二の友である慧のことはやっぱり失いたくなくて、離れるのも嫌で、自分自身どうしたら良いのかわからない。  慧がセフレになりたいって言うなら、何でも従う。  そうしたら、素直すぎる慧はそんなガキでも疑うようなことを信じて……。  由緒ある橘花家の子息が他人にそんな酷い扱いを強いるなんて、家族は絶対に許さないだろうし、何より慧が行為中の出来事だけを覚えていないのがラッキーだ。いくらでも情報操作できる。 「……何でも手伝うから。橘花さん」  耳元で囁くと、慧はビクリと身体を震わせた。 「……なら……ほ、保健室ではなく、トイレ、に……へ、変なことはしないからっ! ぅ、く……」  変なことする気満々なのは俺の方なんだけどね。  また自分の知らぬうちに俺を襲ってしまうことを懸念しつつ、やはり尻の中のものに耐えかねて、慧は俺に肩を貸してくれた。

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