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第29話※羞恥

 二人で個室に入ると、慧は便座の蓋の上に手をついて、もう我慢の限界という風に下着ごとディルドが挿入された双臀をさらした。  そうして俺はさも驚いたようにその場で硬直してみせる。 「わっ……橘花さ、それっ……お医者さんの勉強とも関係ないよね……? こんなものずっと挿れてたの……?」 「え……? あ……あぁッ……ちが……違うんだ悠太。これは……その……」 「橘花さん……ずっと尊敬してたのに、こんなに変態だったなんて……」  俺をセフレ扱いしだしている慧からしても、最も知られたくなかった性癖だろう。  しかも自分の知らないうちに挿入ってましたなんて言い訳、俺以上に苦しすぎる。 「あの……これを抜いてほしいってこと……?」  深く深く埋め込まれているのは、通販で買ってみた、俺より少し大きそうな太く長いディルド。  こんなの、俺が挿れておいて何だけど、よっぽど慣れている者以外は自分では到底抜けそうにない。 「うぅぅ……惨めすぎて死にそうだ……すまん、気持ち悪いだろうが、も、もうこんなこと、悠太にしか頼めなくて……」  しかもこんな情けないお願いにも関わらず、頼れるのは俺だけ。  本当はこのままディルドの持ち手を掴んで、慧が悲鳴を上げるほどズボズボ抽送してやりたいところだけど、シラフでやったら本性がバレてしまう。  今はまだ、慧とは親友でいなくちゃ。 「う、うんと、わかった……お、俺やり方わかんないから、つらくても我慢してね」 「ああ……恩に切る」  後ろためたい思いの慧とは裏腹に、俺はディルドの台座部分を片手で掴み、もう片手を慧の腰の辺りに添えて、ゆっくり引き抜きにかかる。  やり方がわからないってのは本当ではあるけど、あえて焦らすように、肉体だけを開発されてきてしまっている素の慧が、明らかに快楽を感じてしまうように。 「んっ……く、ひううぅっ……!」 「大丈夫……? やっぱりやめようか……?」 「僕のことはいいからっ、早くそれを……抜いてくれ……!」  この状態で“抜いて”なんて違う意味にしか聞こえないな。  俺はわからないなりに、どうしたら良いものかと慧に聞いてみたり、ディルドの動きをわざと慧が感じるようにしてみる。  そのたびに慧は唇を引き結んで、喘ぎ声を留めている。  まさか自分がこんな自慰行為に使うモノで昂っているのを俺に察してほしくないようだ。

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