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第33話

 俺にとっては最高の催眠性生活が続いていたあくる日、慧から放課後、少し付き合ってほしいと誘われた。  慧は塾があるから終わるまでの間はテナント下のコンビニのイートインで時間を潰していたが、終わって合流した彼は、共に来てほしい場所があると近所の公園に連れて行かれた。  学校と塾、そして俺との催眠セックスでの疲れもあるだろうが、今日の慧は何だか変だ。  ずっと覇気がないし、俺の顔を見ては視線を地に落としたりして、申し訳なさそうにしている。  二人してベンチに座ってはいるが……慧は少し距離を取っていて。  やがて、意を決して話を切り出したのは慧の方だった。 「……この前のこと……学校のトイレで君を驚かせてしまったこと、覚えているか?」 「う、うん」 「変態扱いされて……あんなことをするだなんて……自分でも心底軽蔑した。でも……これだけは信じてほしい。さ、最初に悠太と関係を持ったとされる時も……覚えていないと言ったが……。ここのところ記憶が曖昧なことがよくあって……病かと悩んでいる」  慧が俺の顔を全く見れずにうなだれる。 「病、って……確かに驚きはしたけど……俺達まだ若いし……そんなに思い悩むことかな」 「若年性でも記憶障害やアルツハイマーは充分にあり得る。だから……率直に言って怖い。このまま勉強していても……どんどん忘れていってしまうのではないか……努力が無駄になってしまうのではないか。それに、悠太のことだって……いつか君を認識することすら不可能になったら……僕は……」 「…………」  医師の子息だからこその説得力に言葉が出ない。  でも、「催眠アプリのせいです」なんて誰が信じるというのか。医学的な根拠だってまだ曖昧なこと、言えるはずもない。  慧は怒りに任せて手を出すような人間ではないものの……本人に謝って終わる訳もない。

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