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第42話※

「あっ、あっ! あんっ! ら、め、うご、かな……いっ、はひっはひいぃっ」 「んー? もっといっぱい動いてほしい? わかったわかった、しょーがないなー。本当にエロくて変態なんだから慧は」 「ひがうっ……うごかない、れぇっ……ああぁっ! 激しすぎるッ、九重のオチンポが根元まで擦れておかじぐなるゔっ!! ……ぁ……っ」  スイッチオフ状態の普段の慧なら、ペニスのことを「オチンポ」なんて下品な言い方は絶対しないはずだ。  やっぱり癖付いて、作り変えられているんだ。 「ぶははっ、あの言葉遣いも綺麗な『橘花さん』がオチンポだって! ほら、その調子で他のことも吐き出しなよ。俺のオチンポ好き〜ケツマンコ気持ちいい〜中出しして〜っていつも言ってたじゃん」 「そんなことを……僕がいつも……?」 「証拠だってあるよ? 俺が後でオナろうと思って、録音や録画しといた」 「卑怯者……! ううっ、いやだ、こんなの嫌だぁっ……ぐすっ……」  罵倒されるのは慣れっこだったが、慧が泣き出したのは想定外だった。  しかも子供のように縮こまり、頬を伝う涙を拭うこともできない。  催眠療法で疲れた彼をリラックスさせる。  そんな嘘から始まった奇妙な関係。だが、嘘はさらなる嘘を生んだ。  心のケアどころか、もっと酷い目に遭わせている。  ……これじゃあ、幼少期の慧を襲おうとした奴と変わらない。  俺の欲求を満たす為だけの単なるレイプじゃないか……。 「酷い酷いひどすぎるっ! こんなことをしなくても……僕は本気でっ……! 君の……君のことを……愛してしまっていたのに……!!」 「えっ……」  慧から返ってきた言葉はあまりにも突拍子がないもので、とてもではないが想像の範疇を超えていた。  だって、警察に駆け込んでもアプリのことは信用されないにせよ……立派に性被害案件にもできる。  嫌われに嫌われまくって、何なら俺みたいな周囲に馴染めない鼻つまみ者、親の権力で退学処分にでもするのは造作もない。  もう二度と顔を見ることすら無理だと思っていた。なのに。

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