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第48話
それにしても、俺が恋人……慧の恋人……何故かこちらの方が脳がオーバーヒートしそうだ。
射精して疲れているのに、先のシラフで乱れ狂う慧の姿をしただけで、ものすごく恥ずかしくなる。
俺が慧をあんな風にしたのかと思うと……征服感よりも、今はなんだか申し訳なささえ感じる。
一方、自分の潮や情事の汚れを綺麗に拭いた慧。
やっぱりこう見ると普通……以前と何も変わらないように思うけれど。ギャップありすぎだろ……。
「ハート……オカルト……カル……」
ふと慧が考え込む。
カル、と誰も知らないであろうハンドルネームを出されて文字通り心臓が止まりそうになる。
「カル……悠太があの、カル?」
「へっ!? 何のこと……」
「オカルト界隈期待の新人、カル様。昔、ネットを始めたての頃に興味本位で覗いたら親しくしてくれて、ネット上だろうが本当の友達ができたみたいで……。だから彼が催眠に興味があるって書き込んでいた時、アプリのこと調べて送ったの……僕」
確かあの時メールして来た旧知の仲間のハンドルネームは、「シャルル」だった。
「シャルルって、ハートのキングのことだよな……キング……K……ま、まさかその慧っ!?」
「あははっ、こんな偶然あるものなんだな。ああいや、僕も悠太がカルだって全然知らなかった。でもさっきあのアプリを見せられて……それで、確信した」
「マジかよ……俺らいつからお互いのこと知ってたの……?」
「うーん……小学校の頃ぐらい?」
「長ぇっ!? そりゃ縁だわ」
「それに、もしカルが断るようなら、僕から悠太に試してみようと思ってた」
「は? ……慧、俺を抱きたかったってこと?」
「そうじゃなくって……九重悠太は僕のことが好きで、僕を犯したくなるって催眠を……だな」
「……俺に使って、ないよな? 今まで一度も……」
「ない。スパイウェアだと思うだろう? 常識的に考えて」
「あ、安易すぎました……すみませんでした……」
催眠なしでセックスしたんだなぁ……恋人になったんだなぁ……なんて余韻がなければ、慧は性など知らなそうな高潔な男に映るし。俺はやっぱり友達ゼロ人のクソド陰キャに戻る。
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