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第3話(驚きの再会)
「先輩、顔を上げて下さい」
湊翔に言われ蒼は顔をあげる。顔を上げ改めて湊翔を見る。
本当にカッコイイ顔をしている。友樹が騒ぐのも無理はない。
(しかし、なんで俺なんだ?こんなイケメンなら、男でも女でもいっぱいよって来るだろ? )
蒼は凄く疑問に思った。
「先輩、俺の何がダメですか? 」
「な、何がって…さっきも言ったけど、恋愛対象が…」
「でも、俺を知ってもらったら変わるかもしれないでしょ? 」
グイグイと近づいて来る湊翔に、蒼は後ずさる。
「し、知るっても、もう俺は大学に行くし…お前はまだ高校生だろ? 大学は遠いし、忙しいし…」
言い訳をしながら後ずさるが、体育館の壁にぶつかってしまう。
湊翔はそのまま両手で、蒼の横に手をつく。
壁ドンだか、両手なので出口を塞がれてしまう。
(おいおい、なんで俺が壁ドンされてんだよ! しかもコイツデカいし! )
「じゃあ、先輩と同じ大学に合格したら、もう一度アタックしていんですか? 」
湊翔の言葉に、蒼にある考えが浮かんだ。
(そうだ! それでいいじゃないか! 俺の大学は関東で1番頭がいいと言われている。この高校の偏差値では到底受かる奴はいない。俺と友樹は、家から近いからここを選んだだけだから、普通の奴は受からない! )
蒼は勝ち誇った顔を湊翔に見せてこう言った。
「そうだな、俺と同じ大学に受かったら考えてもいいぞ! 」
「本当ですか? 」
「ああ、ついでにミスコンで優勝するのも条件だ! 」
追加で更に難しい注文をした。
(これだけ、言えば諦めるだろ? )
「分かりました、先輩の大学って南東大学ですよね? 」
「ああ、かなり難しいと思うがな」
「でも受かったら、俺の事考えてくれるんでしょ? 」
「ミスコンも追加でな! 」
「分かりました」
近い距離で湊翔に見つめられ、ドキマギする。
(クソッ! 男なのになんでドキマギするんだよ! イケメンはずるいな)
「分かってくれたなら、そろそろ手をどかしてくれないかな? 」
「なんでですか? 男の俺に見つめられても先輩は平気なんでしょ? 」
「あ、ああ、平気だ! 」
蒼は平常心で答える。
「じゃあ、もう少し近づいても平気ですよね? 」
湊翔は、更に蒼に体を密着させて顔を寄せてくる。
キスが出来る位の距離まで近づいて来て蒼は焦った。
(待て待て! コイツキスする気か? いや、避けろよ俺! でも体に力が…)
その時、蒼の携帯がなった。
蒼は、ハッと我に返り慌てて湊翔の腕をすり抜ける。
携帯を取り出すと、友樹からの着信だ。
(助かった! 友樹、感謝! )
「もしもし? ああ、まだ学校だ。分かった、すぐ行く! 」
携帯を切り、湊翔の方を振り向く。
「じゃ、じゃあ、俺は行くから」
「先輩、約束は忘れないで下さいよ? 」
「わ、分かってるよ! じゃあな! 」
蒼は、走ってその場を去った。
走りながら校門を出ると、友樹が待っていた。
「蒼、遅いぞ! 何やってたんだ? んっ? 顔が赤いぞ? 熱でもあるのか? 」
「そ、そうか? 走って来たからな。先生と話し込んでて遅くなった。悪い悪い」
慌てて言い訳をする。
「早く行かないと打ち上げはじまるぞ? 」
「ああ、急ごう」
蒼と友樹は急いで打ち上げ会場に向かった。
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「…い。蒼、蒼って! 」
「えっ? ああ、なんだ? 」
「何、ボーッとしてるんだよ? 平のこと覚えてないのか? 」
「い、いや…覚えてるよ」
「そうか、なら頼みに行こうぜ! 同じ高校の先輩の頼みなら聞いてくれるかもしれないし! 」
急いで行こうとする友樹を蒼は止める。
「ま、待ってくれ! アイツはダメだ! やめとこう! 」
「ハァ? なんで? お前、アラジン役見つけたいんだろ? 」
友樹は蒼の言葉に怪訝な顔をした。
「いや、そうなんだが…アイツはダメだ! 他を探す! 」
クルッと後ろを向き帰ろうとする蒼を友樹は引き止める。
「おい、待てよ! せっかくここまで来たんだから、話だけでも聞いて貰おうぜ! おい、平! 」
蒼の止めにも無視して、友樹が大声を出した。
「おい、友樹! 」
人混みの後ろからでも友樹の声は響き、壇上にいた湊翔がこちらの方を向いた。
「まずい! 」
思わず友樹の後ろに隠れる。
「おい、なんでお前が隠れるんだ? 」
友樹が不思議そうに聞いてきた。
「い、いや、別に…」
そうこうするうちに、人混みをかき分け湊翔が2人の前にやって来た。
「先輩、お久しぶりです」
湊翔の言葉に蒼は顔をあげる。
久しぶりの湊翔は、更にイケメンになっていて眩しい位だ。
背も高校の時より少し高くなっている。
「おお、俺たちの事覚えているのか? 」
友樹が嬉しそうに言った。
「はい、覚えていますよ」
チラッと蒼を見ながら湊翔が答える。
「俺に何か用事ですか? 」
「ああ、実は平にお願いがあってな。な、蒼! 」
「えっ? あ、ああ、別に、こいつに頼まなくても…」
「なんだよ、頼むだけ頼んでみようぜ! 」
2人のやり取りに首を傾げ、蒼を見つめる。
「なんですか? 」
「いや、実は俺たち演劇部なんだけど、文化祭の劇のヒロインの相手役が見つからなくて探してたんだけどさ。凄く平がピッタリなんだよ! 是非やってくれないかな? 」
「劇…ですか? 」
「ああ、今何かサークルとか入ってるのか? 」
「はい。1つではないですが、助っ人などで、サッカー部やバスケ部などには顔を出してます」
「じゃあ、演劇部にも助っ人として協力してくれないかな? 」
友樹の言葉にしばらく考えて、湊翔は蒼に声をかけた。
「栗城先輩もそう思ってるんですか? 」
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