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第2話 キスの練習

「何してるの?」 「うん、こういうチョコについてるメモにさ、付き合ってくださいって書いてる子に、お断りメッセージを送ってるの。」 就活のお祈りメールか。 「モテるのも大変だな。」 「童貞がやることじゃないよな。」 「なんで彼女作んないの?」 「好きじゃなきゃ付き合いたくない。」 ハルマは今まで好きな子がいたことがない。 「ちなみにさ、なんて言って断るの?」 そう聞くと、ハルマはメッセージを見せてくれた。 『好きになってくれて、ありがとう。でもごめんね。見てわかると思うけど、俺、リョウスケと付き合ってるんだ(笑)。これからも友達として仲良くしてください。』 「なんで俺の名前を出すの!?」 「最近、全部これで断ってる。」 ハルマはにやにやして言った。 「俺は知らないうちに恨みを買ってたのか…。」 「女にとられるくらいなら、男にとられた方が諦めやすくない?」 「そうかもしれないけど、その女の子たちへの思いやりを、もう少し俺にも分けてくれよ……。」 突然、同性愛者に仕立てられてしまった。 「ほぼ事実だし。俺とお前の関係で、無いのは体の関係くらいじゃん。」 ハルマは無駄に爽やかに言った。 「まあ、そうだけど……。」 俺が新しい習い事をすると、ハルマもそれを始める。 高校も、ハルマはもうワンランク上を目指せたのに、俺と同じ高校を選んだ。 大学も、ハルマは理系、俺は文系で違いはあるが、同じ大学を目指している。 「……彼女は要らないけどエッチなことはしたい、ってないの?」 そんなに仲が良くても、ハルマからエッチな話は聞いたことがない。 「それはあるよ。早く童貞を卒業したいって、言ってるじゃん。」 「じゃあ、今日チャンスじゃん。一回付き合って、した後に別れれば……。」 「体目当てに?やだよ、面倒くさい。」 「普通、逆じゃない?面倒くさいことがやれるくらい性欲がおさまらないのが思春期だと思うんだけどな。」 「お前も思春期だろ。何おっさんみたいなこと言ってるんだよ。お前はどうなの?性欲。」 「あるよ!あるけど、相手がいないから困ってるんじゃん!だから、相手に困らないお前が彼女作らないのが不思議なんだよな……。」 ため息がでた。 「……俺さあ、下手だと思われんのが嫌なんだよ。そういうの、女子の中で広まりそうじゃん。」 「ああ、なるほど。たしかに、こんだけモテてたら噂になるかもね。」 「だから、練習したいんだけど、それも相手がいないとできないじゃん。」 「そうだね……。」 モテるのも大変だ。 ふと見ると、ハルマがじっとこちらを見ている。 「……あのさ、お前は性欲を発散したくて、俺は練習したいわけじゃん。だから、俺ら二人ですればよくない?」 「………………え?」 ちょっと思考停止した。 「え、まあ、理屈はそうだけど……。」 「試しにさ、今キスだけしてみない?」 キスかぁ……。 憧れは、凄いある。 まず、これがない限り次もない。 が、このキスに行き着くまでに途方もない道のりがある。 と、悶々と考えているうちに、ハルマがのしかかってきた。 「ちょ、ま……まだ、心の準備が……!」 「準備してたら、恥ずかしくなってできないよ。」 ハルマのキレイな顔が迫ってきて、俺の唇を奪う。 息をしていいのか、止めていいのかわからない。 ハルマの唇は柔らかかった。 ドキドキしていると、ハルマは俺の唇を唇ではさんできた。 言葉にならない気持ちよさが広がり、下半身が反応してくる。 はぁ…… というハルマの吐息が聞こえた。 ハルマも興奮してるんだと思ったら、いよいよ興奮してきた。 ハルマの背中に手を回し、抱きしめる。 「んっ……。」 ハルマの声がちょっと漏れるのがいやらしい。 ここまで来たなら、もう同じだ。 俺もハルマの唇を舐めてみた。 「あん……っ。」 ハルマ……声が……エロい……。 ハルマの腰がのけぞる。 ハルマの口に舌を入れてみた。 ぬるぬるして気持ちがいい。 チュッとか、ピチャっと音がして、エロまんがの通りだと思った。 互いに、はあはあ言いながら本能のままにキスをする。 キスを辞めて、互いに抱き合った状態になる。 ハルマは恥ずかしそうにちょっと下を向いている。 正直、可愛い。 「気持ち良かった……?」 ハルマに聞いてみる。 「想像以上に気持ち良かった……。これなら、彼女作りたい気持ちも……わかるよ。」 俺もそう思う。 「彼女がいる奴は毎日こんな気持ちいいことしてるのかと思うと羨ましい……。」 ため息が出た。 彼女がほしい。 「…俺たちなら、毎日できんじゃん。」 ハルマが言った。 「………………え?」 理屈はそうだけど。

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