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第3話 放課後

その後、俺はトイレを借りた。 スマホを開いて、自分の好きなエッチな画像を見る。 もしハルマが女の子で、おっぱいがついてたらと想像したら興奮が高まる。 ハルマが女の子なら、最高なのに……。 そう思いながら処理をした。 部屋に戻ると、ハルマはまだスマホを打っていた。 俺のニセ同性愛者情報が拡散されていく。 そっと、元の場所に座る。 「……お世話になりました……。」 「あはは!なんだよソレ!」 「なんでお前は平気なの?」 「平気じゃないけどさ、なんだろ。性欲弱いのかな。」 「いいなぁ。なんか最近、おさまらないんだよ。バカなんじゃないか、って、本当自分が嫌になる。」 「そうなんだ。思春期だから。」 「そう、思春期なの。やっぱり部活入れば良かったかな。失敗した。」 有り余る体力と性欲は、勉強では解消出来なかった。 「ランニングする?付き合うよ。」 「あー……それいいかも。うん、そうしよう!」 元々俺はスポーツが好きなのだ。 ハルマと同じ学校にいくためにちょっと偏差値高めの学校にした結果、勉強が大変になり、部活は諦めた。 本当はバスケ部に入りたかった。 ハルマは剣道部だった。 似合っててカッコ良かったから、続ければ良かったのに。 さっきのピンク色の空気から変わって、勉強にも手をつけれそうだ。 二人で教科書を開いた。 ―――――――――――― 翌日もいつも通りにハルマの部屋に行く。 条件反射のように悶々としてきた。 今日からは、キスなら……ハルマに頼めばできる。 実は学校にいるときから、何回かハルマとキスする妄想が湧いてきた。 唇を合わせて……舌で触って…… キス……したい……。 相手はハルマだけど……。 「ランニング行く?」 そう聞かれてハッと我に返った。 そうだ!ランニングするんだった! 「そ、そうだね、行こうか……。」 「……それとも……もうキスする……?」 そんな、 ごはんにする?お風呂にする?それとも…… みたいな会話、実際にあるんだ。 ハルマは視線を床に落とした。 ハルマも、ちょっと恥ずかしいんだろう。 「あ、いや、ランニング、行こう!今キスしたら、ダメな気がする。」 今キスしたら、多分、毎回部屋に入ったらキスするように俺の下半身がしつけられてしまう。 さすがに友達でそれはダメだ。 ジャージに着替えて、走りながら河原に向かう。 俺はただの体力バカで、バスケもすごく上手いわけじゃなかった。 逆にハルマは運動神経が良くて、なんでもそつなくできた。 背が低いことがコンプレックスみたいだが、女子よりは大きいんだから、悩みのうちには入らないだろう。 今もガンガン走れてる。 河原に着いた。 夕陽がキレイだ。 川の流れも清々しい。 自分たちの他にも本を読んだり、散歩している人がいる。 本格的にストレッチをする。 久々に思い切り動いて気持ちがいい。 市民向けのジムにも行こうかな。 ハルマを見ると、柔軟をしている。 「体、柔らかいよね。」 「そうだね。昔から体は柔らかいよ。」 自分は体が硬いから、地面に簡単に手がつくのが羨ましかった。 「じゃあ、1往復くらいする?」 そう言われて河原を走る。 ―――――――――――― 家に戻ると、ハルマがシャワーを使っていいと言ってくれた。 男子の汗臭さは半端ない。 ご好意に甘えることにした。 シャワーを浴びながら自分の下半身の具合を確かめると、今日は自尊心に満ち溢れている気がする。 そうだ、これでいい。 部屋に戻ると、冷たい飲み物が用意されていた。 「ごめん、なんか至れり尽くせりで……。」 「ああ、別にいいよ。俺もシャワー浴びてくる。」 部屋に残され、飲み物を飲みながらスマホを見る。 友達からメッセージが来ていた。 『お前、ハルマと付き合ってるんだって?もう、女子の間ではみんな知ってるみたいだよ。』 『そんなわけないから。ハルマが断る口実に俺を利用してるだけだって(笑)。』 『もし、お前を好きな子がいたら、お前を諦めるかもしれないじゃん。いいの?』 なんだって。 そんなこと、考えたことがなかった。 それならもっと早く告白してほしいけど。 ただ、可能性はゼロじゃない、はずだ。 そんな弊害があったとは……。 『ハルマといると、彼女できないと思うよ。ハルマは、お前が好きな子にわざと優しくして、お前とくっつかないようにしてるんじゃないかな。』 え? それも考えたことがなかった。 確かに、ハルマは女の子とも結構話すし、笑ったりする。 だから、ハルマは女好きだと思っていた。 ハルマが、俺の恋路を邪魔するメリットはないから、わざわざそんなことはしてないと思うけど……。 そんなやりとりをしていたら、シャワーを終えたハルマが戻ってきた。 「リョウスケは、化粧水とかつける?」 「いや、全然。」 「俺、肌が荒れやすいからつけてるんだけど、試してみない?」 「うん、じゃあ。」 ハルマは自分の手に化粧水をつけると、俺の頬に塗り始めた。 普通、瓶ごと貸さない? 「少し、手の温かさであっためながらつけるといいんだって。」 「そ、そうなんだ。」 ハルマがじっと俺の頬を両手で挟んでいる。 なんとなく見つめ合ってしまった。 ハルマが唇を舐めった。 舌がちょっと見えて、ドキッとする。 昨日のことが思い出されて、ムラムラしてきた。 「……キス……する?」 つい聞いてしまった。 「……いいよ。」 ハルマの腰を引き寄せて、キスを始める。 シャンプーの匂いがした。

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