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第6話 週末デート
ちょっと早めに着いたはずなのに、みんなもう着いていた。
リカちゃんに、ココミちゃん。
そして…
なぜか、ハルマがいた。
「なんでいるの?!」
挨拶も忘れて大声を出してしまった。
「ごめんね、直前でココミちゃんが、リョウスケ君もくるならハルマ君もって……。」
リカちゃんが申し訳なさそうに手を合わせる。
そういえば、ココミちゃんは前にハルマに告白していた。
まだ諦めてなかったのか!
女子のタフさをみくびっていた。
「悪いね、邪魔しちゃって。」
ハルマがにっこりと笑う。
「いや、全然、大丈夫。うん、ホント大丈夫。」
なぜ俺がこんなにビビッているんだ。
「今日のパフェ、本当に大きいの!多分三人でも食べきれないからさ、男子よろしくね!」
ぽっちゃり目のココミちゃんが言う。
そうだ!ココミちゃんがいるんだから、ハルマとココミちゃんをくっつけよう!
そんな想定外の出だしで"小カワ系"ショップへ向かった。
――――――――――――
ショップは、小カワ系だけでなく、ファンシーなキャラが至るところにあり、奥の方に目当てのコーナーがあった。
お店は新作が出た日ということもあり、ごったがえしていた。
そうこうしているうちに、リカちゃんとココミちゃんとはぐれた。
横にハルマがいる。
なんか怖い。
「怒ってる?」
「なんで?」
「なんとなく、そんなオーラが……。」
「怒ってないよ、別に。」
「じゃあ、良かった。俺も見に行くよ。」
確かに、ハルマが怒る理由はない。
俺も怒られる筋合いはない。
堂々としてればいいんだ、堂々と!
気を取り直して、棚をみて歩く。
小カワ系の棚には小物から、タオル、パーカーまで売ってある。
「か、かわいい…!」
こういうファンシーなものは、単品で見るよりまとめて見た方が可愛さが増す。
ハルマと遊ぶとなかなかこういうとこに来ないから新鮮だ。
「良かったね、いっぱいあって。」
ハルマも棚をしげしげと見ている。
「いつもさ、メモ帳とかかわいいな、って思うんだけど、どこで使うんだよ、ってなるんだ。」
「確かに。」
「ペンケースもめっちゃかわいいけど…やっぱどこで使おう、ってなるんだよな。」
「大学受験の時に持ってけば?」
ハルマがにやにやして言う。
「いや、ふざけすぎでしょ。それで落ちたら"やっぱりな"みたい思われるから。」
思わず笑ってしまった。
結局、二人で楽しく買い物してしまった。
ショップを出ると、女子もあとから出てきた。
リカちゃんはかなり買い込んだようだ。
「ごめんね待たせて!」
リカちゃんはだいぶ興奮している。
「俺たちも今出たばかりだから。新作のぬいぐるみ、買えた?」
今回の新作はぬいぐるみが目玉だ。
リカちゃんは紙袋を開いて見せてくれた。
メインキャラ5体がちゃんと入ってる。
「コンプリートしたんだ!さすがだね!」
5体あると、迫力がある。
「やっぱり……5人そろわないと、可哀想だな……って。」
リカちゃんから並々ならぬ情熱を感じる。
リカちゃんのその真っ直ぐな感じが可愛かった。
うん、正直、2人デートならどれだけ嬉しかったか。
ココミちゃんがハルマにキャラ説明をしている。
俺も好きだからハルマも知ってるはずだが、ココミちゃんの話をよく聞いてあげている。
ハルマは聞き上手で、その辺りも女の子的には他の男子と違う魅力を感じるらしい。
移動して、スイーツカフェに入る。
そして、目の前に山盛りのパフェが現れた。
女子二人と俺は写真を撮りまくる。
こういうとき、ハルマはそういうことをしない。
「あ!リカちゃん!ぬいぐるみと一緒にパフェの写真撮ろうよ!」
リカちゃんとぬいぐるみとパフェ、絶対可愛い。
「それいいね!」
リカちゃんはぬいぐるみを取り出した。
「俺、写真撮ってあげるよ。」
ハルマが撮影係をかって出た。
リカちゃんを真ん中に座らせ、両脇に俺とココミちゃん。
もちろん、その後俺とハルマと交代して写真もとった。
これはココミちゃん用だ。
撮影会が終わり、とりわけ用のスプーンでリカちゃんがパフェを分けてくれる。
ざっと見て、4人で分けても一人あたり普通のパフェを2人前は食べなきゃいけない気がする。
「じゃあ!完食目指してがんばりましょう!」
リカちゃんが張り切って言う。
アイスが溶けてしまうので、そこから攻めていく。
一度形が崩れたら、あとはひたすら食べる作業だ。
「食べても食べても減ってる気がしない……。」
ハルマが弱音を吐いた。
確かに、ハルマは甘い物は得意じゃなく、大抵半分は俺によこす。
じゃあ、なんで今回来たんだろう?
「今回は残すなよ。さすがにこれは俺もお前の分まで食べられないから。」
「……本当に二人って、仲良いよね。付き合ってるって本当なの?」
ココミちゃんが聞いてきた。
噂の出所が本人の、あのデマね。
「まさか、コイツが適当に言った嘘だよ。」
ハルマをチラッと見て言う。
ハルマはアイスをツンツンしている。
おそらく、食べずに溶けるのを待つ作戦だ。
「嘘かぁ。まあ、そうかなとは思ったけど……。リョウスケ君は彼女いないってこと?」
「あ、うん。全然いない。絶賛募集中。」
つい力んで言ってしまった。
「へえ。好きなタイプは?」
いいぞココミちゃん!
よくぞ聞いてくれた!
「タイプってタイプはないんだけど、やっぱり明るい子がいいよね。俺、スポーツ好きだから、一緒に楽しめるといいな。」
まあ、もうリカちゃんのことですよね。
「胸はDカップ以上が希望じゃなかった?」
ハルマが口をはさむ。
「いやいやいや!それは、主じゃないから!」
「俺にお気に入りの画像送ってくれるじゃん。」
ハルマがスマホをいじり始める。
「やめろ!見せなくていいから!」
女子の様子をチラッと見る。
ドン引きしてる。
「俺のことは、まあ、いいから……。リカちゃんは、どんな人が好きなの?」
ココミちゃんに聞くのは酷だと思って、リカちゃんに聞いた。
「あ、私、彼氏がいて、小カワ系のらっこ先生みたいな人なんです。自分がしっかりしてて、優しい人が好きなんです!」
……彼氏?
彼氏いるの?
彼氏いるのに、俺とショップに行く約束したの?
あ、でも結局ココミちゃんを呼ぶくらいだから……
そういうことか……。
「うん、わかるよ。らっこ先生、カッコイイよね。俺だってらっこ先生なら惚れちゃうよ。」
そんなわけのわからないフォローをした後、どれくらいパフェを食べたかの記憶はない。
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