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第16話 天使と悪魔
家に帰り、ベッドに横になり、ボーっとする。
童貞は卒業した。
感想としては、セックスが気持ちいいことはわかった。
多分、女の子としても同じなんだろう。
あとは、ハルマの気持ちにどう答えるかだ……。
本当に、自分の気持ちなのに、自分がハルマのことをどう思ってるのか全然わからない。
試しに、ハルマがタツオミにとられたらどうなるかを妄想してみる。
タツオミに微笑むハルマ。
タツオミと戯れ合うハルマ。
タツオミとキスするハルマ。
タツオミと……。
……ハルマが、幸せそうなら、それでも良さそう……と思う自分がいた。
ただ、一緒にいる時間が減るのは……やっぱり寂しいかな。
でも、そんなの、好きの内に入らなくね?
試しに、自分に彼女がいたらと考える。
………………。
寂しくない!
寂しいのは、一人が寂しいだけか……。
ちなみにハルマが、好きじゃないのにタツオミに迫られるところを妄想してみる。
キスを強引にされてしまうハルマ。
抵抗虚しく服を脱がされるハルマ。
俺以外の男に恥ずかしい格好を見せるハルマ。
嫌なのに、感じてしまうハルマ。
なんか……いい!
なんだ俺。
ハルマのことを何だと思ってるんだ。
ちなみにタツオミにも申し訳ない。
ハルマを譲っていいのは、今のところタツオミくらいしかいないから。
なんか、これ、NTRって言うのかな。
男同士ですらハードル高いと思ってたのに、NTRまで行けるって、俺すげーな。
ハルマ、本当に俺なんかを好きになって、大丈夫なんだろうか。
――――――――――――
翌日から、俺はハルマの彼氏になることを決意した。
性欲に正直な俺は、NTRの興奮に興味が出てきてしまった。
間男が出現するかはわからないが、少なくとも俺とハルマは仲良くなくてはいけない。
土曜日、ハルマの参考書を買いに付き合うことになっていた。
本屋までの道中に聞いた。
「……あれから、体、大丈夫だった?」
「うん。平気だよ。」
「……それって、今日もしようと思えば、できる?」
あれ?なんかマジトーンになってしまった。
ふざけて言ったつもりだった。
「え……。あ、うん。でも、今日は家族がいるから……。」
そうだった。
さすがに家族がいるのにヤッちゃうのはマズイ。
バレたら、もう犯罪者扱いだろう。
「……ラブホに行く?」
ハルマに言われてドキッとした。
「あ、いや、今日、っていうのは、ちょっとやりすぎだよね。自分で言っといてなんだけど。」
ただ、ラブホにはめちゃくちゃ興味があった。
「……俺はいいけど。」
いや、ハルマ、もっと自分を大事にしろ。
天使と悪魔の戦いって本当にあるんだな。
頭では、昨日の今日でハルマの体が心配だとか、未成年でラブホに行くのはダメだよと天使が囁く。
下半身は、ハルマの体に触りたい衝動が込み上げてくる。
「……一度は行ってみたいとは思ってるんだ。」
つい言ってしまった。
まさか、今日じゃないよね?と天使がツッコむ。
「じゃあ、お昼食べたら、行ってみる?」
ハルマが恥ずかしそうに言う。
「うん。そうしよっか。」
俺が言ったのか、悪魔が言ったのかはわからない。
自己嫌悪すら下半身には敵わなかった。
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