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第22話 勉強会

それから、三人で勉強することが増えた。 図書館が満席な時は、タツオミが場所を提供してくれた。 その部屋は、タツオミの個人の部屋とは別で、兄の時代から友だち同士で勉強できるように用意された部屋なのだという。 参考書、辞書、辞典、ネット環境、受験雑誌。 冷蔵庫やウォーターサーバーもある。 予備校の自習室もきっとこんな感じなんだろう。 「父と兄いわく、同期、って大事みたいなんだ。いずれ、みんな同じように出世すれば、自分がポジションについたときに相手もそういう立場になってるだろ?そうなれば、他の分野で活躍してる同期に、仕事を頼んだり、頼まれたりできるらしいんだ。」 「そんなこと……高校時代から意識してるなんて、すごいな……。」 毎回、次元が違う。 「ま、それは結果論で、単に気の合う仲間は尊いよね。」 それはある。 俺が仲間と言えるレベルかは、わからないけど。 そんな恵まれた環境になり、自然にハルマの部屋に行くことは少なくなった。 俺は今まで、英語と国語をハルマに教えていたが、ハルマがイマイチわからないときは、タツオミが解説を加えてくれた。 その教え方が俺より10倍わかりやすかった。 俺はハルマから数学と理科を教えてもらっていた。 理科は良かったが、数学が教わっているわりに伸びない。 その問題自体は解けるようになるが、次に繋がらない。 「リョウスケは、解法の着眼点が見つかればいいんだよ。極端に言えば、着眼点がわかるなら、解かずに次の問題に進んで、勉強時間を節約する手もある。あとは、苦手を絞って類題演習だね。これ、使ってみて。」 タツオミはそう言って、問題集を勧めてくれる。 「ああ、すごくまとまってて……わかりやすい。」 「この問題集だけでまず土台は固められるよ。リョウスケは、ミスなく解けるのが強みだから。解法がわかったって、答えが出なきゃダメだからね。小学校や中学校の時、結構勉強したんじゃない?」 「あの頃は……まだハルマに負けたくない気持ちで頑張ってたんだ。」 「あの頃は…なんだね。」 タツオミは笑った。 「リョウスケが数学が苦手なイメージはなかったんだけど。」 ハルマが言う。 「意地だよ、意地!でも、なんか段々数学に興味が失せてきてね……。」 「丸暗記?」 タツオミが言う。 「そう。よくわかったね。」 「中学までは義務教育だから、ある程度みんなが解ける問題を出すよ。だから丸暗記で行けちゃう。」 「楽しちゃダメなんだなぁ……。」 「王道が一番の近道さ。」 タツオミがほうじ茶をすすりながら言う。 「カッコいい……。言ってみたい、いつか。」 思わずつぶやいた。 「一番、リョウスケに縁が遠いセリフだね。」 ハルマがくさす。 「……そうだな……。王道行ってるものないもんな。」 恋愛なんて、まさにだ。

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