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第41話 タツオミの恋愛
タツオミとは初めてじゃないし、ディープキスもなんだかんだでしている。
そんな今更興奮するかね……
と、全く色気のないことを考えていた。
タツオミの唇に触れる。
ハルマは唇が厚くて柔らかい。
軽く触れただけでも止まれなくなる。
タツオミは普通の男性体型だ。
そのうえ、体格がいいから、ハルマのように可愛くない。
やっぱ、ハルマがいいよ……
と、考えながら、唇をはんだり、唇をペロペロ舐めたりする。
「リョウスケ……。」
「……何?」
「それが、感謝の気持ち?」
タツオミの目が据わっている。
「……ダメ……かな?」
身が入っていないことが、バレた。
「いや、いいんだ、それがリョウスケの誠意というなら。」
「お、お気に召さないならもう一回するよ。」
「勉強会は、リョウスケやハルマが望む限りちゃんとやるよ。俺は、他人の死活問題を駆け引きに使う卑怯な人間じゃないから。でも、まあ、リョウスケはどうもフラフラしてるとこがあるからね。そこは、俺もちゃんと踏まえなきゃとは思うよ。」
「え……いや、そんな、タツオミが、真剣になるようなことなの……?」
「……リョウスケ、まさか来年もこんな色恋沙汰であわあわするつもり?」
「え……。」
一瞬、ドキッとした。
「高3なら、やっぱり勉強一本に専念してどうかだよ。それでも、偏差値で一喜一憂するし、家族の話し合いもある。お金だって、入学後の何百万、ひいては生涯年収の何億って金額が関わるんだから。大学受験って、結構イベントとしては重要だと思うよ。まだ、部活なら先輩たちも通ってきた道だからわかりやすいけど。恋愛は、個人的で際限がない。積み重ねて成し遂げたい目標があるときは、大きく足を引っ張るかもしれないんだよ。」
確かに、タツオミの言う通り……かもしれない。
「俺だって……まさか、リョウスケを好きになるとは思ってなかったから……。いい迷惑だよ。」
タツオミは伏し目がちに言った。
思えば、俺はそんな風に人を好きになったことはなかった。
タツオミにとっては、勉強に障害になりそうな”恋愛”そのものを避けて来たのかもしれない。
それがまさか、俺みたいなちゃらんぽらんな男に惚れるなんて、そりゃ戸惑うよな。
タツオミからすれば、俺が正式な?彼氏?え?彼女?になればいいんだろうけど、それはできない。
だったら、やっぱり、せめてキス払いの時くらいは気持ちよくすれば良いんだろう……。
だが、いかんせん、俺がタツオミにムラムラしない。
ムラムラしないのにキスだけうまくなんて器用なことはできない。
どうしたら……。
「……何、ジロジロ見てるの……?」
「え?ジロジロ見てた……かな。や、なんか、タツオミってさ……どんなエッチが好きなんだろうと思って。」
やっぱり、俺ってバカだな。
タツオミがさっき大学受験が大事、って言ったそばからこれだよ。
会話の次元が違いすぎる。
タツオミは爆笑した。
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