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第42話 性的嗜好
「まさか、このタイミングでそんなこと聞かれるとは思ってなかった。」
ですよねー。
タツオミは笑い涙を拭っている。
「こ、これからのキスを、盛り上げるための参考に、だよ。」
「勉強熱心だね。」
タツオミは落ち着いてきた。
「俺は、まあ、両想いの甘い系はそんなにそそられないんだ。現実はそれが望ましいけど。女の子の好みも特にないし。関係性として、報われない、とか、言いづらいけど、強引に関係を持つようなのが好きなんだ。」
「……それ……今の俺との関係じゃん……。」
「……言われてみればそうだね。こわっ!」
タツオミはまた笑った。
「リョウスケは?」
「俺は……最近NTRに目覚めたよ……。」
「何それ?」
「寝取られ……。」
「寝取られ……?」
タツオミは、一瞬考えている様子だった。
「ハルマが誰かに抱かれているところに興奮するってこと?」
「そう。」
「………………。」
「………………。」
「わかんねぇなぁ……。」
そう言って、タツオミはまた爆笑し始めた。
「寝取られの何がいいの?」
「うーん……。なんか、他の人とヤッてるハルマが、気持ち良さそうなのがいい。」
「嫉妬しないの?」
「まあ、結局、また俺ともするのはわかってるから、嫉妬はしない……かな。」
「それ、寝取られが好きなんじゃなくて、寝とるのが好きなんじゃない?」
「……どゆこと?」
「仮に俺がハルマを寝とったとして、またお前がハルマを抱くなら、”間接的にタツオミに勝った”みたいにならない?”誰に抱かれても、ハルマは俺が好きだから大丈夫”みたいなのが前提な気がするよ。」
「言われてみれば……。」
「でもまあ、どちらにしても、俺の理解の範疇を超えてるわ……。」
タツオミは爆笑して疲れたらしい。
「とりあえず、俺は、リョウスケとのこの関係が好みに合ってることは理解した。さっきは、柄にもなく、受け身だったのが良くなかったね。」
タツオミはあぐらで座っていた俺を押し倒して、唇を奪った。
ゆっくり、ねちねちとキスをされる。
キスが終わると、タツオミは俺に覆い被さったまま、股間を触って、硬直度合いを確認してきた。
「気持ち良かったみたいで何より。」
「そうだね……もう言葉で確認する必要ない……みたいな……。」
まだ、タツオミは触っている。
「……もういいだろ。どいてよ。」
「ここでやめたら、俺が好みを自覚した甲斐がない。」
「……逆に、俺がタツオミと両想いラブラブ系になったら、タツオミは冷めるってこと?」
「……そうかもね。試してみる?」
タツオミは、俺のTシャツをたくし上げた。
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