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第46話 カシワギのデート

「デート先がテーマパークかぁ……。やるなぁ先輩……。」 俺は思わずつぶやいた。ゲートをくぐっていく二人の姿を見る。 「ホントだ。先輩、ガチだね。」 タツオミにも手伝ってもらうことにした。 このテーマパークは、アトラクションはもちろん、映画化された長編ファンタジーの魔法の国をイメージした街並みがウリだ。 今は、期間限定の謎解きをしている。 俺たちも後を追った。 二人はアトラクションより、謎解きをメインに回るらしい。 指定された場所で、物を探したり、クイズを解いて、最後のミステリーに挑戦……という流れだ。 俺もツールは買ったが、謎解きは大の苦手だ。 「タツオミ……全て任せた……。」 「だろうな。」 まず、タツオミがいればコチラは大丈夫だ。 二人の様子を見ると、とにかくカシワギの距離が近い。 少しハルマが避けても、すぐにくっついていく。 謎解きブックも、一人一冊なのに、わざわざハルマのを二人で見る。 「カシワギ先輩、本当にハルマが好きなんだな……。」 想像以上だった。 「その辺のカップルより近いよな。」 タツオミももはや感心している。 カシワギがテーマパークを選んだのは正解な気がした。 周りはテーマパークの雰囲気に夢中だし、自分たちのことしか見ていない。 男二人がちょっとイチャイチャしてても気づかれない。 カシワギが、ハルマにチュロスを買ってあげる。 味が違うようで、一口ちょうだい的にハルマの口をつけたものにカシワギがかぶりつく。 「いやいや、なんなんだよ。慣れてんなカシワギ。見てるこっちが恥ずかしいわ。」 自分が女であんなことされたら……多分貢ぐ。 「勉強になるよ。あれを女子にやればいいのに。前からカシワギ先輩はゲイの噂があったけど……。やっぱり本当だったんだね。」 雨が降ってきて、俺たちは慌てて傘を被った。 二人は、テーマパークで売っている、ポンチョ型のレインコートを着た。 そしてアトラクションに並ぶ。 体型がわからなくなったところで、カシワギがハルマの腰に手を回した。 「ああ……これで周りの目を気にせず、男同士でもスキンシップができるわけか……完敗だ……。」 「乗り物までの待ってる間も、暗がりだからね。」 俺たちもマスクをして行列に並んでいる。 タツオミが俺の尻を触る。 「何してんだよ!」 「まあ、これくらいやっても、周りにはわかんないよな、って。」 「……今頃、どこを触られてんだろ……。」 「ネトラレ好きには、たまらない感じ?」 「あ、うん。実際、昨日は興奮して寝れませんでした……。」 「……現実と妄想は違うから、気をつけろよ。」 ごもっともだった。

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