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第47話 テーマパーク

ランチを食べている様子を見る。 これならハルマの表情も見えた。 カシワギ先輩が自分のスプーンで、ハルマに一口食べさせてあげている。 カシワギ先輩はにこにこしていて、その雰囲気でやられるとなぜかいやらしくない。 一方、ハルマは微妙な顔だ。 やっぱり、ハルマはそこまでカシワギ先輩を受け入れてるわけじゃないようだ。 「……俺にはできないな……あんな甘々な芸当……。」 「普段のリョウスケとハルマはどんな感じなの?」 「え?あんま、勉強会の時と変わんないよ。」 「ふーん。そういうもんなんだ。」 二人は謎解きブックを開いて何やらやっている。 「タツオミの謎解きは順調?」 「今のところは。この調子なら、第一弾の参加賞はもらえる。あとは第二弾があって、夜のイルミネーションとパレードに関わる謎を解いて応募すると、抽選でペアチケットが当たる。」 「へー。よくできてるねぇ……。って、あー!近い近い近い!あんなに近づく必要ある?」 カシワギ先輩はいつの間にかハルマの隣に移動して肩に手を回し、謎解きブックを一緒に読むような姿勢になっている。 「油断も隙もないね。……リョウスケはさ、今は何なの?嫉妬してるの?」 「えっと……。なんか、俺にできないことをカシワギ先輩がやってるから悔しい気持ちと、俺がやったらキモイから、そういうことしてもらえて良かったね、っていう気持ち。」 タツオミはちょっと考えた。 「……敗北感と、祝福……みたいな?」 「うん、まあ、そうかな。」 「敗北感はわかるけど、”良かったね”はわかんないな。普通、ムカつかない?デレデレするなよ、みたいな感じで。」 「……なんかね、ハルマが幸せなら、相手は俺じゃなくてもいいんだよ。」 「は?どういうこと?そうなったら、身を引くってこと?」 「あ、いや、やっぱり、最後は戻ってきてほしい……な。」 「……やっぱりネトラレじゃなくて、ネトリ好きじゃん……。」 「究極は、みんな仲良くできれば……。」 「ああ……そう……。」 タツオミは微妙な顔をしている。 二人が席を立ったので、また後を追った。 夜になり、イルミネーションが輝く。 パレードも始まり、特定の場所に人がごったがえす。 「暗くなったことをいいことに……恋人つなぎしてる……。」 「本当、男女のデートと変わんないな。先輩すごいよ。」 さらに、暗闇と人混みに紛れて、カシワギはハルマの頬にキスをした。 「あー!あぁ……。そんな……展開が早い……。」 「テーマパークを出たら、二人はどうする予定なのかな?」 「多分、先輩の家か、ラブホに行くんだと思うけど、この時間なら家には家族がいるだろうから、ラブホなんじゃないかな……。」 「このペースでラブホに入ったら、もう逃げられないよ。今声をかけてもいいくらいなんじゃない?」 「う、うん。まあ、タツオミと二人でいるのは不自然だから、テーマパークを出てから、駅で声をかけてみるよ。」 ハルマはパレードを見ていたが、カシワギ先輩はハルマを見ていた。 本当に、ハルマが好きなんだ。 カシワギ先輩はハルマとのこの1日を楽しみにしていただろう。 自分だったら、ここでエッチができなかったら、だいぶ凹む。 複雑な気持ちだった。

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