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第54話 暗証番号
「ダメだよ、誕生日を暗証番号にしたら。」
先輩は笑いながら言った。
「なんで……俺の誕生日を知ってるんですか……?」
「昨日、謎解きの問題で、キャラクターの誕生日の問題があったんだ。ハルマが、リョウスケ君の誕生日だって言ってたから。あとは、和暦を組み合わせたら、一発だったね。」
暗証番号決めた時の、俺のバカ……。
しかも、そんな偶然……。
一番知られたくない人に、一番知られたくないタイミングで知られた。
「リョウスケ君てさ、本当にスケベなんだね。」
カシワギはジンジャエールをストローで吸いながら言った。
めちゃくちゃニヤニヤしている。
まず、画像。
これは女の子のエロいのしか入ってない。
メッセージは大丈夫。
こっちの暗証番号は違うから。
次に、検索履歴。
そこそこやばい。
動画がやばい。
あとは、漫画!
こっちはものによる……。
俺は盛大にため息を吐いた。
もはや、まな板の鯉だ。
「NTR好きなんだ。だから、ハルマをデートによこしたんだね。」
「それは……。そういう傾向もありますけど、俺は……先輩がハルマを本当に好きだっていうから……1日だけど、いい思い出を作ってほしかったんです。」
そう言うと、先輩は驚いたような顔をした。
「それ、本気で言ってるの?自分の恋人だよ?」
「まあ、結果、大惨事ですけど……。でも、俺はハルマが、人から好かれること自体は嬉しいんです。」
「……でもそれって、体も狙われるじゃん。僕だけじゃなくて、女の子であっても。」
「そうなんですけど……。あいつのそのエロさも魅力なんで、どうしようもないですよね。」
何言ってんだ、俺。
「…NTR的に、何がベストなの?」
「え?ベスト?」
「ハルマがどうなるとこまで大丈夫なの?」
そう言われて妄想する。
正直、タツオミやカシワギのようなイイ男なら全然ありだ。
知らない輩は……ハルマが気持ちいいなら、いい。
犯罪的になると……妄想した後に、罪悪感がある。
「リョウスケ君……妄想してる時の顔、ヤバいよ。」
カシワギ先輩にドン引かれる。
「す、すみません……!」
先輩の方が本当は断然ヤバいのに、なんで俺が注意されるんだよ。
「ハルマが……気持ちいいなら、いいです……。」
「リョウスケは俺が見込んだ通り以上の変態だね。」
先輩はちょっと呆れが入っている。
「だからって!もう先輩はハルマとやらないでくださいね!一回って約束ですから!」
「はいはい。そう思ってるよ。」
そう言って、先輩は持っていたナゲットにケチャップをつけて俺の口に入れて来た。
思わずナゲットを持っていた先輩の指まで舐めてしまう。
「口にケチャップついたよ。」
そう言って、唇のケチャップを拭ってくれたのはいいが、さらにそれを俺に舐めさせる。
「んがっ!ちょっと!」
先輩は楽しそうだった。
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