58 / 77
第58話 春休み
ハルマにどこに行きたいか尋ねると、謎解き街歩きイベントに行きたいと言われた。
謎解きと聞くと、鳥肌が立つ。
トラウマだったが、ハルマのたっての希望だ。
がんばることにした。
俺は、小さくてかわいい系ランドを希望した。
春祭り企画で、屋台風になっているらしい。
そのほか、名所を充てる。
いい感じだ。
「うん!計画はいい感じにできた!楽しみだね。」
「リョウスケ、謎解き大丈夫?なんか不安そうだけど……。」
「ああ、それは、テーマパークのカシワギ先輩を思い出すから……ね。」
謎を解かれる身にもなってほしい。
「リョウスケ、合格したら、カシワギ先輩と同じ大学だね……。」
「うん。まあ。でも、学部が違うから、大丈夫だよ。」
大丈夫って、なんだろう。
ハルマには、あの事件後、先輩とランニングで顔を合わせていることは行っていない。
「そうだよね。大学は広いし……。」
「まあ、まずは受かんないとね。」
俺は苦笑いした。
「リョウスケ、一年で変わったよね。」
「そうかな?」
「勉強会始めてから、落ち着いたっていうか、なんか、カッコ良くなったよ。」
「え、そうかな……。まあ、先月のバレンタインデーは、過去最高の10個もらえたし、1個は本命だったからね!」
なんと、俺はついに女の子から告られたのだ。
相手は、ユイちゃんの友達で、勉強会に来ていたカナンちゃんだった。
それはハルマにも報告してある。
ぶっちゃけ、ハルマと付き合ってなかったら、付き合ってた。
俺はまだ、女子にはちょっとだけ未練がある。
――――――
タツオミが童貞を卒業したことを告げられたときは、祝福と嫉妬で悶えた。
「ハルマがいるし、なんだかんだでお前の方が経験豊富じゃん……。間男のとこに乗り込む経験なんて、なかなかないよ?何をまだ望んでるの?」
「……一番の王道の、女の子としてない……。でも、ハルマは悲しませたくない……。」
「…ハルマの価値観を、変えるしかないんじゃない?」
「どういう風に?」
「一夫多妻制もあり……みたいな方向で…。」
「そうだね……。案外ハルマが一番まともだから……。男が好きなんじゃなくて、俺が好きなだけだから。」
「ハルマも、もっとまともな人を好きになればいいのに。」
「うるさいな。しょうがないんだよ。お互い、好みなんだから。」
「まあ、それはそれで、かなり羨ましいけどな。」
タツオミは笑った。
――――――
「リョウスケは、国際文化科を目指すんだよね。」
「うん。やっぱり、いつか海外で……働いてみたい……っていうのは夢のまた夢だけど、頑張ってみようかな、って。」
「……一年……頑張ろうね。」
「ああ。」
あと、たった一年。
でも、去年も頑張れたことが自信になっていた。
絶対、合格しよう。
ともだちにシェアしよう!