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第58話 春休み

ハルマにどこに行きたいか尋ねると、謎解き街歩きイベントに行きたいと言われた。 謎解きと聞くと、鳥肌が立つ。 トラウマだったが、ハルマのたっての希望だ。 がんばることにした。 俺は、小さくてかわいい系ランドを希望した。 春祭り企画で、屋台風になっているらしい。 そのほか、名所を充てる。 いい感じだ。 「うん!計画はいい感じにできた!楽しみだね。」 「リョウスケ、謎解き大丈夫?なんか不安そうだけど……。」 「ああ、それは、テーマパークのカシワギ先輩を思い出すから……ね。」 謎を解かれる身にもなってほしい。 「リョウスケ、合格したら、カシワギ先輩と同じ大学だね……。」 「うん。まあ。でも、学部が違うから、大丈夫だよ。」 大丈夫って、なんだろう。 ハルマには、あの事件後、先輩とランニングで顔を合わせていることは行っていない。 「そうだよね。大学は広いし……。」 「まあ、まずは受かんないとね。」 俺は苦笑いした。 「リョウスケ、一年で変わったよね。」 「そうかな?」 「勉強会始めてから、落ち着いたっていうか、なんか、カッコ良くなったよ。」 「え、そうかな……。まあ、先月のバレンタインデーは、過去最高の10個もらえたし、1個は本命だったからね!」 なんと、俺はついに女の子から告られたのだ。 相手は、ユイちゃんの友達で、勉強会に来ていたカナンちゃんだった。 それはハルマにも報告してある。 ぶっちゃけ、ハルマと付き合ってなかったら、付き合ってた。 俺はまだ、女子にはちょっとだけ未練がある。 ―――――― タツオミが童貞を卒業したことを告げられたときは、祝福と嫉妬で悶えた。 「ハルマがいるし、なんだかんだでお前の方が経験豊富じゃん……。間男のとこに乗り込む経験なんて、なかなかないよ?何をまだ望んでるの?」 「……一番の王道の、女の子としてない……。でも、ハルマは悲しませたくない……。」 「…ハルマの価値観を、変えるしかないんじゃない?」 「どういう風に?」 「一夫多妻制もあり……みたいな方向で…。」 「そうだね……。案外ハルマが一番まともだから……。男が好きなんじゃなくて、俺が好きなだけだから。」 「ハルマも、もっとまともな人を好きになればいいのに。」 「うるさいな。しょうがないんだよ。お互い、好みなんだから。」 「まあ、それはそれで、かなり羨ましいけどな。」 タツオミは笑った。 ―――――― 「リョウスケは、国際文化科を目指すんだよね。」 「うん。やっぱり、いつか海外で……働いてみたい……っていうのは夢のまた夢だけど、頑張ってみようかな、って。」 「……一年……頑張ろうね。」 「ああ。」 あと、たった一年。 でも、去年も頑張れたことが自信になっていた。 絶対、合格しよう。

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