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新たな人生と将来の約束 2

「僕が怯むと思う?暴力で支配するような人に負けるつもりはないよ。僕と一緒に生きてほしい。そばにいて」 「怜央……僕で良いんですか」 「君が良いんだよ」  僕の手を取り指が絡められて怜央がその場に跪いた。真っ直ぐ綺麗な瞳で見つめられている。 「秦郁美さん。番関係を前提に僕とお付き合いしてください。結婚を前提に僕と番になって欲しいです」  絡め取られていた左薬指にクローバーのあしらわれたリングが嵌められた。信じられないことが次々に起きて、僕はそのまま固まってしまう。 「何とか言ってよ」 「あ、あの嬉しいです。こんなの初めて」 「これからは幸せに暮らしていこうね。僕のことも幸せにしてくれる?」 「はい。僕に上手くできるか分かりませんが、幸せにしたいです」  怜央の告白を受けて全てが吹っ切れた。万羽のことなんてどうでも良いくらい彼との未来にワクワクした。こんなに心躍ったのはいつ以来だろうか。もう思い出せないくらい昔な気がする。 「こんな所で告白するなんてロマンチックとは程遠いよね。でも郁美が僕から離れて行こうとするから必死でね」 「ごめんなさい。あなたの迷惑になりたくなかったから。でも僕との将来を考えてくれていたって分かって一緒に生きたいと思いました」  少年みたいに優しく笑う怜央の手を取り、手の甲に唇を押し当てた。自然と出た行動にびっくりしたように彼は目を見開いている。 「そんなことされたら幾ら僕でもケダモノになってしまうよ」 「そ、そんなつもりは……」 「冗談だよ。でも僕もただの男だからね。今みたいな嬉しいことされたら、我慢なんて出来なくなるんだよ」  イタズラに成功したみたいな笑い方をした怜央に僕も自然と笑顔になった。 「ちゃんと覚えておきますね」 「そうだね。でも勿論、無理矢理しないからね」 「はい。初めてちゃんと恋しているので、まだキスとかそれ以外とか考えられなくて、すみません」 「よかった。僕に恋してくれてるんだね。今はそれだけで十分だよ」  優しく頭を撫でてくれる手が心地よくて、擦り寄るように甘えてしまった。恥ずかしくて顔が熱くなる。 「これからのことだけど、貴重品とか取りに行かないとだよね」 「はい。銀行の通帳やカード置いてきましたから」 「マンションに戻りたい?僕は二度と戻らせたくないんだけど」 「怖いです。閉じ込められたらどうしよう……」  想像しただけで幸せだった気持ちが吹き飛んで、恐怖で体が震えてしまう。  顔も見たくないし、居ない部屋に戻るのさえ嫌だった。監禁されて拘束された過去はどうやったって拭えない。 「大丈夫だよ」  逞しい腕で優しく抱きしめられた。怜央の体温や心音を感じる。意外に鍛えられていることを知り安心できた。 「僕が何とかするから、必要な物と置き場所をリストアップしてくれるかな」 「もしかして怜央が取りに行ってくれるんですか?そんな危険なことしないで……」 「一人では行かないよ。三木も来るし護衛も同伴させる」  三木さんはイメージでいうと優しいおじさまという感じで、キレた万羽相手に応戦できるのだろうか。怜央に何かあったら僕は息ができない。  

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