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愛の巣で始める二人暮らし 2
一緒に住む部屋で初めての昼食。デリバリーを頼んでくれたので、届く間ソファで寛ぐことにした。
腰を抱き寄せられて怜央の体温を感じるほど近い距離にいる。やっぱりくっついているとわかるけど、細身でもちゃんと筋肉が付いている。
彼の体温と予想以上の筋肉に胸が高鳴る。
「郁美。必要な荷物の件だけど、メッセージで確認したよ。明日取りに行ってくる。心配だろうけど一人では行かないからね。三木と警察の人が立ち会う」
「警察の方が立ち会ってくれるんですか」
「僕にはSPが付いてるから手を出されることはないよ」
怜央は国になくてはならない存在で要人にあたる。だからSPが付けられているのだろう。
メディアに顔を出し、オメガバースの研究、論文発表、治療やΩの立場の確立に尽力している。間違いなくこれからの世を変えていく存在。
SPが付いているなら安全性は保たれるに違いない。
僕の問題だけど、これからは一人で何とかしなくていいんだ。頼れる相手が居るのは頼もしい。
「お願いします。でも無理だけはしないでくださいね」
「うん。危ないと感じたら撤退するよ」
だから大丈夫と言って頭を撫でられた。僕が不安や心配を感じているのがわかるのだろう。いつも心を軽くしてくれる。
「郁美。良い匂いだね」
「フェロモン出てますか」
「術後は不安定になるから少し感じるよ。ヒートも突然現れるかもしれないけど、徐々に安定していくからね」
クンクンと自分自身を嗅いでみてもよくわからない。
怜央がαだからっていうのもあるだろけど、僕の匂いって自分じゃわからないみたい。
「臭くはないですか」
「臭いなんてとんでもない。良い匂いだよ。自覚症状は何かある?」
「言われてみたら眠たいかもしれません」
眠たいだけじゃなく、後孔が疼いて少し濡れてる気がする。せっかく着替えたのに、これじゃまるで僕が怜央とセックスしたがってるみたいじゃないか。
こんなこと自分からは到底口にはできない。
「少し眠る?デリバリーは僕が受け取るし、郁美の分は残しておくよ」
「じゃあお風呂入って休んでもいいですか」
「うん。抑制剤だけは飲む?」
「はい。研究所で頂いたのがあったかと」
「お風呂のセッティングしてくるよ」
そう言って怜央がソファを立って部屋から出て行った。
僕はソファから動けず、濡れている後孔へ意識を持っていかないようにするのが精一杯だった。
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